美術館・ギャラリー

ラスコーの壁画



小学生の時、外国に行くとしたらどこに行きたいと聞かれてハワイと答えた私。クラスメイトのまりちゃんがいつかラスコーに行きたいと言うのを聞いてなんてロマンチックな人なんだろうと子供心に感心したのをおぼえています。そのラスコー展が科学博物館で開催。これは行かなくてはと思いながら、ズルズルと。終了まじかになって慌てて行ってきました。科学博物館を訪ねること自体がひょっとして小学校以来かも。
洞窟壁画の最高傑作と言われているこの壁画は今から二万年前にクロマニヨン人に依って描かれました。
ラスコーの洞穴は発見されてからたくさんの人が訪れたために人間の排出する二酸化炭素でバクテリアやかびが生じたために完全封鎖されて、近くに全く同寸の洞窟を作り、観光客を呼び寄せているそうです。今回のこの展覧会も壁画はもちろんレプリカです。今までここが最古と思われていたけれど近くに3万年前の洞窟壁画が発見されました。その記録映画をみたことがあります。絵自体はもちろんラスコーの方が写実性に富んでいますが、人間のコツコツと描き続け伝えようとする能力にどちらも圧倒されます。


お出迎えしてくれたのは壁画を描いたクロマニヨン人。皆さん 美形。

クロマニヨンは今と同じ形の縫針を使っておしゃれな服やビーズの帽子を楽しんでいたようです。



芸大が協力して制作した洞窟模型。同寸で描かれた壁画は暗闇の中でミステリアス。


平日の午前中にもかかわらずとても混んでいます。皆、洞窟好き?





上の壁画の説明。人間のような姿も。何?とり人間。

オイルランプを灯して鉱物などで作った顔料で描かれた沢山の動物たち。天井あたりにも描かれており、皆で協力して気の遠くなるような作業を行ったのでしょう。連綿と続くこの描くと言う行為は喜びであり、祈りだったのだなと思えます。



動物たちの姿はどれも躍動的。

これは槍の取手。こんなところもおしゃれ。

クロマニヨン人の観察 力、 描写力に脱帽。面白い展覧会だけれど、もう少し壁画が見たい。どうしても科学という枠でとらえるので学術的な展示が多くなるのでしょう。美術的な壁画中心の展覧会を期待していたので少し肩透かしな気分。 まりちゃんはこの展覧会見にきたかしら?

クラーナハ



閉館ギリギリのある日、誘われて国立西洋美術館にクラーナハを見に行きました。

今日は8時まで開いているので夕方からもたくさんの人が…。

ここはひょっとして我が家から一番近い世界遺産。でも、全部が世界遺産ではなくてコルビジェが設計した古い部分だけ。新しく増設された部分は違います。

ホロフェルネスの首を持つユディト。 この展覧会に間に合うよう三年かけて修復されたそうです。この時代の絵は木の板に描かれているので微調整された副え木で裏打ちされ、当時の輝きを取り戻した作品をまじかで見ることができました。国を守るため敵将軍と夜を共に過ごし酔わせて寝首をかいた美女。不思議なまなざし。

聖女カタリナの殉教。 黒雲と天からの雷鳴、カタリナを取り押さえる宇宙服を着たような兵士。ひっくり返った馬車。カタリナの運命は?


ディアナとアクタイオン 一枚の絵にドラマが全部描かれて今津。右上に狩をしているアクタイオン一行。ディアナとニンフ達が沐浴しているのを盗み見たために鹿に帰られ、自分の犬達に噛み殺されるという残酷なお話。

面白い部屋がありました。壁いっぱいに 正義の寓意 (ユスティティア) というタイトルの女性の絵の模写が90枚。中国の模写をする画工の村にイラン人のアーティストが訪れ百人に6時間で写真を見ながら模写させるというインスタレーションを行なってその中の90枚を展示。皆そっくりに描こうとしているのに皆違って個性的。選ばれなかった10枚の存在が気になる。上手すぎて売れちゃった?

ク ラーナハという画家に特に興味はなかったけれど誘われるものは見るべき。面白い展示でした。500年前のドイツで大きな工房を開いて大成功した画家。 宗教改革を起こしたマルティン・ルターと親交があって彼の改革を応援。本やチラシを手がけたそうです。今で言う広告代理店。
クラーナハの描く女性その頃描かれていた豊満な女性とは違う平坦な胸のちょっと変わったプロポーション。そしてどこを見ているのかわからない謎めいた眼差しと表情。岸田劉生の麗子を連想させます。実際、岸田劉生はクラーナハの絵に刺激を受けていたと展示されていたその頃の美術雑誌に載っていました。なるほどねー。

遠藤茂子あらい画廊




京橋の古いビル地下二階にあるあらい画廊。むき出しの白い壁は無造作なのに冷たい印象を与えない。なんだかホッとする柔らかな空間です。この画廊で開催された友人の個展に行ってきました。サムホールの小さな作品から大作まで。蜜蝋と和紙を重ねたデリケートなマチュエール。

重厚な作品から

軽快な作品まで



若い頃はどんなに大胆な発想を持っても怖くなかった。最近は自問するという。こんなのでいいのだろうか? と。その気持ちよくわかる。物の道理なんて少しわかってくると自分を束縛しかけない。それでも新しい発想を産み出す苦しみから逃れるわけにはいかないのがアーティストたる所以。

でもきっと新しく人生を選択できることがあっても彼女は産み出す苦しみのある人生を選ぶでしょうね。

Frida is



資生堂ギャラリーで開催中の Frida is 写真家の石内都さんが撮影したフリーダ・カーロの遺品の写真展。
フリーダが愛しんだ品々を写真家の慈しむ眼差しがとらえた美しい写真。
フリーダが亡くなってから50年の間、バスルームに封印されていた遺品。彼女の生家である青い家と呼ばれる博物館の依頼で石内都さんが彼女ならではの視点で撮影したフリーダの生きた証。
石内都さんが撮影している状況を撮影したドキュメント映画が公開されました。好評だったそうで、13日からアップリンクで再公開されます。

ギャラリーの壁も赤と青と黄色。優しいピンクとカラフルで綺麗。フリーダが愛した美しい品々をより美しく見せてくれます。


美しい愛用品の中には痛む身体を締め付けるコルセットや、足を切断した後の義足。左右のサイズが違う靴などがあって、画家の誇り高い、情熱的な生き様とともにいつも同居していた痛みを思い起こさせます。




余りにもサイズの違う靴。

彼女の日記帳。


コルセットなしでは身体を支えられなかった。

写真家の眼差しが優しいので痛みを止めるモルヒネまでも美しい。遺品の写真を通してそこにその持ち主の存在と、撮影した人の思いが絡まっているようです。

毎日書道展



新国立美術館で開催している毎日書道展。毎年たくさんの人が公募し作品が展示され、全国を回ります。若い出品者も増えていて書道の裾野が広がりを見せています。昨年はパリで選抜作品が展示されて大好評だったそうです。
今夏の企画展示は「今こそ 臨書」 今日の毎日展を築いた先人の書 が展示されていて見ごたえあります。臨書とは古典を学ぶこと。古えの作品をお手本にそこから何を読み取るか。己の書の技を高め、表現を深化させ、自己の書の確立を求めて古典を学ぶ。道を極めるための努力はどの道でも同じ。まさに刻苦勉励。小林抱牛、手島右卿、金子鴎亭など馴染みある方達の臨書が拝見出来ます。

会津のHさんも、所属している独立とは別に公募しています。

彼女の今回の出品作品。秀作賞を受賞しました。「感」

地道にコツコツが私達のモットー。お互いに好きなことがやれて良かった。
彼女が個人指導を受けている先生とばったりお会いしてお茶をご馳走になりました。先生は全国を回り指導したり、会の取りまとめを行ったりとお忙しいけれど、ご自分の作品にもしっかり向き合ってそれこそ刻苦勉励。自分だけだと世界が限られてしまうが、いろいろな人や違うジャンルのものを見たり、知ることが自分の幅を広げるのに大切だとおっしゃいました。私も大賛成。先生も気さくで好奇心旺盛とみました。

書道三昧

銀座の清月堂ギャラリーで開かれている書道の作品展に古い知人が出品していると聞いて訪れました。リニューアルされたサッポロビルの裏にあるお洒落れなギャラリー。会場で会津から上京してきたHさんと待ち合わせ。この知人はHさんの短大時代の友人で、どういうわけか昔私が油絵を教えていたことがあるのです。インド舞踊を始める前のあまりに古い話なので、夢のよう。

このビルが経営しているギャラリーなのでしょう。空間が贅沢。

出品者それぞれの思いのこもった字。知人の選んだ字は翔。


流麗なかな文字。

会場は賑わっていました。
続いてHさんが上野の東京都美術館で開催中の独立書道展に作品を出しているので、そちらへ移動。この作品はHさんと同じ研究会で勉強している方の作品。小品だけの公募作品展示室。
この作品がHさんの今回の出品作。「感」力強くて墨の色が綺麗。
お世話になっている先生が講評してくださいました。

SOS in アフガニスタン

今東博で開催中の『黄金のアフガニスタン』展のつながりで藝大の陳列館で開かれているバーミヤン大仏天井壁画展 流出文化財とともに 。2001年にタリバンの攻撃で破壊されたバーミアーン東西の大仏。その室の天崖を飾っていた壁画を復元して展示されているそうです。国立カブール博物館で破壊、略奪され国外に流出した所蔵品も何点か文化財難民とされ陳列されているそうです。これはぜひ拝見しなくては。

陳列館はこちら。
平山郁夫画伯の東西の大仏の作品。この美しい絵で面影を偲びます。バーミヤンに住むイスラムの人びとはこの東西の大仏をお父さん、お母さんと呼んで親しんでいたそうです。宗教を超えて愛されていた大仏が破壊されたニュースは世界中にショックを与えました。あれは序章で益々蛮行が世界中で繰り広げられ、あの頃よりも嫌なニュースが世界を巡っているように思えます。
1973年、早春のバーミヤン風景。失われたものは大きい。

今回の復元では、制作された頃の本来の色味も復元。青はラピスの青。四頭の馬に引かれた天翔ける太陽神。インドではスーリヤ神として信仰されています。流出した文化財は国立銀行の金庫室で保護されていた『バクトリアの遺宝』とともに世界各地で展示されてからアフガニスタンに戻るそうです。
アフガニスタン国立博物館の壁には【自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる】と言う言葉が掲げられているそうです。ほんとうに自国の文化がないがしろにされ、なくなるほど悲しいことはないだろうと思う。この復元された天井壁画もどこかに展示されることを祈ります。

武器ではなく、庭園。造るひとが好き。

谷中のザ・エスノース・ギャラリーで開催中の渡邊真砂さんの布と紙のコラージュ展です。さて魔女は今回どんな世界を展開してくれるのか?

楽園の入口。
今回のテーマ。武器ではなく、庭園。造るひとが好き。
そんなに広いギャラリーではないのに、真砂さんの世界はなんて広いの!
イスラムの庭園をイメージした作品。原画は蛇腹の本。上に飾ってあるのはコピーしてそこに筆をいれたカード。
インドでもよく見かけるアップリケの手法を使ったタペストリー。大作。


8号位のダンボール製の画材に描かれた気の遠くなるような緻密な世界。

可愛い生成りバッグには手描きの植物達。

普段中々ゆっくり話をする時間がないけれど、今日は夕方まで時間あったので二人でインドの話で大盛り上がり。懐かしい 名前がたくさん出てきました。皆元気かな?
今日私が買った包ボタンのハットピン。ショールやカーディガンを留めるのに便利。誰かに気楽なプレゼントしてもいいですね。

不思議な時間が楽しめる場所



久しぶりに訪れた奥野ビル。ここで知り合って仲良くなった若い友人がグループ展に出品しているので見に行きました。相変わらずこの一角は不思議な時間が流れていました。

時代物のエレベーターも味わい深いけれど…。

私はここの階段が好きです。このビルは旧館と新館が隣り合わせになっているので階段が二つ並んでいるのかなと私の推測。新館、旧館と言っても建てられたのはニ年の差です。

このビルの306号は昔須田さんという女性が美容室を開いていた部屋。2008年に100歳で亡くなられた後有志がお金を出しあって部屋をそのまま借りて保存しています。ただしいつも開いている訳ではありません。開いている時と開いていない時があります。
さて今日は?おや、開いているようです。『ドアを開けたら右のシャワー室に入ってください』となんだか注文の多い料理店のような怪しいメモがぶら下がっています。

好奇心に駆られてドアを開けて右を見ると真っ暗。半畳の床がタイル貼りのシャワー室らしき空間。小さなのぞき窓があって美容室だった部屋が見えます。水浸しになった床にローソクが。怪しい気配?
気をとりなおして部屋に押し入ったら主催者の男性がお一人。窓から差し込む光の移ろいで変化する部屋の様子を楽しむインスタレーションだそうです。ドアの外に気配がするので待っていても、皆怖がって誰も入ってこなかったそうです。
内装を変えず、荷物がない剥き出しのままの部屋はそれだけで充分存在感があります。漆喰が剥げかかった壁、唯一残された丸い鏡が三つ。この前でたくさんの女性が須田さんに髪を結ってもらっていたのですね。なんだかそういう女性達の顔が映ってそう。この方 も有志のお一人で6月13日に本物の 美容師さんに来てもらってここで髪を切るというイベントをするそうです。この部屋で是非髪を切ってみたい方は是非。フリーで切って貰えるそうですよ!

306号室で思いがけない楽しい時間を過ごした後、本来の目的の画廊へ。友人は今日は来廊していないので作品を見ていたら画廊のマダムに声をかけられました。何か踊りをやってるような雰囲気ですが?と尋ねられたのでインド舞踊をやっていますと答えたら、なんとマダムも20 年程前に国立でバラタナティアムを習っていたそうです!思いがけない楽しい展開で話が弾んでここでも楽しいひと時。奥野ビルに来ると色々な人と会えるから嬉しいですね。ちなみにマダムは帽子作家でこの画廊でクラスも開いています。

グレー展



友人からの展覧会のお知らせ。個展ではなくて、画廊企画のグループ展。

初めて訪ねるギャラリー。このビルの8階だそうだ。

7階で降りて、階段を半分登ったところに小さな展示室が。なんだかワクワクしてきます。

また階段を半分登るとそこにギャラリーの受付が。その奥は屋上のティールームになっています。

そこからまた階段を半分登るともう一つの展示室。
今回のこのグループ展のテーマはグレー。グレーという色にこだわる作家たちに集ってもらい、それぞれがこの色彩に託した想いを探ろうという企画。
白と黒の中間。曖昧さ、優しさ、朧、哀愁、などが思い浮かびます。ジャコメッティは『パリの空の下から』の中でグレーにいたわりと優しさを感じ取っていたようです。さて、あなたは?

友人の遠藤茂子の作品。彼女独特のモノクロの世界。

吹き抜けの階段を見下ろせる室内。屋根裏部屋を探索するような楽しさがあります。それぞれの作家がこだわるグレー。

こんな空間で個展をやるのも面白そう。部屋がインスピレーションを与えてくれそうな気がしてきます。

作家やお客様がくつろげるようにと作られたルーフ-ティールーム。

屋上からの展望を楽しみながら珈琲のおもてなしを受けました。いいひと時です。私の後からいらした方は作品のコレクターだそうです。お話ししていると幾つか接点が。アートを通じて新潟を応援しているそうです。私が踊ったことのある浦佐の池田美術館もご存知でした。

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