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11月大歌舞伎



11月の歌舞伎座は大御所達の顔見世大歌舞伎。坂田藤十郎、松本幸四郎、中村吉右衛門、尾上菊五郎。そして先月国立劇場で霊剣亀山鉾で美しい冷血漢を好演してファンを魅了した片岡仁左衛門らが集合。円熟した芸が楽しみです。

今日は戸塚の友人と誘い合わせて。歌舞伎好きの則恵ちゃん。一緒に観劇するのは初めてなので楽しみです。

最初の演目は仮名手本忠臣蔵の五-六段目。忠臣蔵の志士の中で一番間の悪い男、早野勘平とおかるの悲劇。仁左衛門は先月の悪役から一転、何をやっても裏目に出る勘平をちょっと憐れに演じている。息子の孝太郎がおかる。
このカップル、名前は知っていたけれど、どういう事情を持つのかはこの段を見るまで知りませんでした。塩治判官が江戸城内で刃傷沙汰を犯し切腹、家名は断絶に。この主君の大事に、なんとおかると逢引していた勘平。その責から猟師になっておかるの実家で暮らしていました。ある日、火縄銃の火を借りた浪人が元同士の千崎弥五郎。そこで仇討ちのための資金調達を約束します。
勘平の心を知ったおかるは身を売る決意。おかるの父与市兵衛は女郎屋から前金を預かり夜道を急ぐ中、山賊の斧定九郎に襲われ金を奪われます。そしてその斧定九郎を猪と間違えて撃ち殺した勘平。真っ暗な闇の中、人間を撃ってしまったことに驚き、懐の金を奪って逃げ帰ります。
折しも家には女郎屋の女将がおかるを引き取りに。父与市兵衛の帰りが遅いと話している中、女将に与市兵衛に前金を払ってあるのでおかるを連れて行くと言われ、自分が殺したのは義父だったと思いこみ悩む勘平。おかるとの哀しい別れの後、腹を切ります。その後村人達が与市兵衛の遺体を運びこみ、死因が刀傷だと判り自分が殺したのではないと判り、また仇討ちの血判に名を連ねることが許され、安堵して息絶えます。
それにしてもなんとも憐れなこの二人。今月の夜の部では仇討ちを果たす男の影で人生を翻弄される女性が二人登場します。

次の演目は人形浄瑠璃でお馴染み梅川忠兵衛の新口村。坂田藤十郎と息子の扇雀がこちらのカップルを演じています。忠兵衛の父、孫右衛門を歌六。則恵ちゃんはこの作品を一番楽しみにして来たそうです。
大阪の飛脚問屋の養子、忠兵衛は馴染みの遊女梅川を見受けするためにご法度の公金の封を切ってしまい追われる身に。死を覚悟した二人は忠兵衛の生まれ故郷の大和、新口村に落ち延びます。そこへ孫右衛門が通りかかりますが、罪人なので家の中に身を隠し、障子窓から父の姿を見守ります。雪道で転ぶ孫右衛門。思わず駆け寄り下駄の鼻緒を直して介抱する梅川。その二人を見守る忠兵衛。歌六と扇雀のやりとりが涙を誘います。自分を気遣うこの女が息子の連れだと気づく孫右衛門。梅川は孫右衛門に めんない千鳥 という座敷遊びの時のように目隠しをして忠兵衛に会わせます。父の手が息子をなで、息子の手が父の手を握りしめます。
そこへ追っ手の声が聞こえてくる。親の目の届かないところで捕まってくれと泣く孫右衛門。後ろ髪を引かれながら雪の中を逃げていく二人。このラストシーンが哀しく叙情的。降り頻る雪の木立の中、黒地に同じ裾模様の着物に手拭い姿の二人が絵の様に美しい。逃避行なのに、比翼と呼ばれるペアの衣装。
これが歌舞伎の美意識か。美しい舞台に則恵ちゃんもうっとり。

最後の演目は元禄忠臣蔵 大石最後の一日。本懐を遂げた四十七名の浪士達は四家の大名屋敷にお預けの身となっています。御使役堀内伝右衛門が細川家にお預けとなっている大石内蔵助(松本幸四郎)に一人の小姓を引き合わせます。大石はその小姓が女性だと見抜きます。この女性は細川家の元家臣、乙女田杢之進の一人娘おみの(児太郎)。彼女は浪士の磯貝十郎左衛門(染五郎)の許嫁でした。なんと結納当日に討ち入りのために姿を消した磯貝の心を知りたく、必死の思いで男装して屋敷を訪れたのです。磯貝の気持ちが揺らぐのを恐れ会わせることをためらう大石。そこへ浪士全員の切腹命令が出る。今日一日の命。大石は磯貝が琴の爪を肌身離さず大事に持っていることを知っていました。それこそおみのの琴爪。大石は二人を会わせてあげる。磯貝の真心を知ったおみの。おみのに後ろ髪を引かれながらも必死に耐え部屋に戻る磯貝、恋人達の美しく切ない別れ。
おみのは浪士達が一人一人刑場に進むその場で磯貝に先立ち自害する。磯貝の腕の中、愛に順じたおみの。すぐに追いかけると磯貝。この作品は以前にも一度見たけれど、児太郎の雰囲気にあっているのかウルウルしてきました。
今日は愛しているからこそ、哀しい結末を迎える三組のカップルを堪能しました。

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