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2017年10月

通し狂言 霊験亀山鉾



国立劇場で今月開催されている通し狂言 霊験亀山鉾は14年振りに片岡仁左衛門主演で話題になっている演目です。

仁左衛門が悪役、それも二役演じるというので楽しみも倍増します。歌舞伎通の姐さんから昨日の公演後に期待が高まるメールをいただきワクワクしながらようやく到着。実は永田町乗り換えで何も考えずに渋谷行きに乗って青山というアナウンスにビックリ‼️慌てて反対の電車に乗って無事着いたところ。久しぶりの国立劇場、しかも歌舞伎は初めて。さてどんな雰囲気なんでしょうね。おまけに今日は千穐楽。25日間無事務めた役者達にとってもいい日ですね。

元禄14年に伊勢国亀山城下で実際に起こった仇討ち事件を鶴屋南北が戯曲にしたそうです。悪役の主人公、浪人の水右衛門は剣術の試合に負けた腹いせに遠江国浜松の家中、石井右内を闇討ちします。これだけでも卑劣なのに仇討ちに来た石井家とその所縁の人々ー右内の弟兵介。養子の源之丞。家来の轟金六。源之丞の愛人で身重の芸者おつまなどを、次々と卑劣な手段で返り討ちにします。最後は源之丞の妻お松と息子源次郎、お松の兄で石井家の下部袖介が仇を討ち本懐を遂げます。
なぜこんな男が主役? 実はこの水右衛門、役者の様ないい男でその徹底した冷血漢振りが不思議な魅力をもたらしています。彼の父親藤田卜全は著名な剣術家で息子を溺愛。普通なら勘当するところ、この父は身を隠している息子ヘ送金したり、仲間に身の安全を頼んでいます。そこで水右衛門側と石井家側との丁々発止の攻防戦が繰り返えされるのです。
先ず石井の弟が仇討ち免状を持って果し合いを行なうが、なんと後見の掛塚官兵衛は水右衛門の仲間で、石井の水盃に毒を仕込む。試合の途中で倒れたところに留めを刺して殺害。
石井の養子、源之丞にはおまつという女房と幼い息子がいます。この息子は生まれた時から脚が悪く、人間の肝臓を飲めば治ると言われています。この設定も凄いですね。
源之丞は雲隠れしている水右衛門を探すために商人になりすまして三年近く丹波屋という揚屋に出入りしています。そこで石井家の下部の妹の芸者おつまといい仲に。
そして、なんとこの丹波屋に水右衛門が匿われているのです。ここに水右衛門そっくりな隠亡の八郎兵衛、揚屋の女将、官兵衛などが絡みます。
源之丞と下僕が水右衛門のだまし討ちに会い、二人とも果てます。水右衛門の身を案じた女将が彼を棺桶に入れて逃す算段の中、他の寺から担がれて来た棺桶と取り違えられて焼き場の火の中ヘ。そこへおつまが源之丞の仇を討ちに現れ、隠亡の八郎兵衛と本雨の中で壮絶な立ち回り。
この焼き場での立ち回りが本公演の最大の見せ場。八郎兵衛と水右衛門の二役を演じる仁左衛門は磨き抜かれた悪の美を余すことなく発揮します。全てのシーンを錦絵のような絵面で見せ、観客の目に焼き付けてきます。先ず八郎兵衛とおつまが雨の中争いおつまの帯が解けて、手繰り寄せる八郎兵衛。その八郎兵衛の隙をついて井戸に落とすと、隣で燃えている棺桶がパーンと割れて水右衛門が現れる。水と火と早変わり。美しく、残虐な男は先ず腹の子から刺し殺していきます。どの場面も型が美しく決まり、魅入ってしまいます。フーッという観客の溜息が聞こえてきそう。
源之丞の母貞林尼はお松との結婚を反対していましたが、実は何年も前から密かに生活の援助をしていました。そしてついに結婚を認めると訪ねて源之丞の位牌をお松に渡します。仇討ちを誓う息子源次郎。貞林尼は自ら胸を突き肝の臓を源次郎に差し出します。祖母の犠牲で歩けるようになった源次郎。お松と袖介の三人で、蘇我八幡宮の祭礼の日についに宿敵水右衛門を討ち取ります。
舞台いっぱいに咲き誇る悪の華。



舞台転換に瓦版が撒かれてラッキーな観客の手に。最初の弟兵介が敗れた時の様子。

高崎15周年記念コンサートのお知らせ

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今年は高崎の教室が開催されて15年目になります。教室を始めたころにびっくりしたのは群馬の女性の元気なこと。かかあ天下と空っ風というのはこのことかと納得した記憶があります。そのパワーで面白いイベントをたくさん行いました。



現在、高崎でのクラスは休んでいます。メンバーは私のスタジオに来て練習をしています。ここ数年ベビーラッシュやほかの土地に転居するメンバーがいたため、定期的な会場を高崎で借りることができなかったためです。



昨年の宇都宮20周年公演。この夏の内幸町ホールでのコンサートなどに積極的に参加していたメンバー達が、やはりこの15周年にコンサートを開きたいと急遽、高崎バラタナティアムの会15周年記念コンサート、企画委員会を立ち上げました。



何やらやっているなと思っていたら、会場を決定し、チラシを作っていました。去年のお礼にと、こちらもパワフルな栃木のメンバーも応援出演が決定しました。みんなのパワーに囲まれて嬉しい私です。



公演まで一か月を切りました。目下準備に大わらわ。楽しい時間を過ごしています。どうぞぜひお越しくださいませ。私達のたのしいパワーを御裾分けしたいと思います。



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マハーバーラタ戦記



10月の歌舞伎座、昼の部はインドが誇る大叙事詩マハーバーラタの通し狂言が行われています。日印友好交流年に定められたことを祝し、日印友好の架け橋となるべく、インドで愛され、語り継がれてきた神話的叙事詩と日本の誇る芸能、歌舞伎がどのように掛け合わされるのか?
インド好き仲間達、歌舞伎好き仲間達との間で話題になって楽しみにしていました。あんな膨大な話をどのように料理するのだろうと。






菊之助とお弟子さん達がインドに行ってスチール写真などを撮ってきたそうです。さて、どんな旅だったのでしょうかね。多分もう二度とインドなんて行きたくないと一度は思ったと思います。それなのに帰国すると懐かしく思い出しているのでは? 楽屋内ではナマステとインド香が流行ってるそうな。








あくまで歌舞伎にインドのエッセンスを加味して、どちらの良さも損なわない。上手にインドというスパイスを使っています。脚本、演出、衣装、音楽、背景。演出の宮城氏は歌舞伎の手法を存分に使わせていただいたとコメントしていました。東西の花道を掛けたので両軍相見対する戦闘シーンも迫力がありました。一流の方達が役者を支え、より面白い舞台を作ろうとする気持ちが伝わる舞台になっていました。











天界では神々が愚かな行為を繰り返す人間達をどうしたものかの会議中。太陽神(スーリヤ神=左団次)は愛こそ人間を救う道だと説き、帝釈天(インドラ神=鴈治郎)は力こそ救いになると両者譲りません。


そこでどちらの神も地上の女性に子供を授けその行方を見守ることに。選ばれた美しく気高い女性が象の国のクンティ姫(汲手姫=梅枝)。クンティは結婚もしていないのに太陽神の子供を身ごもりこれを恥じてガンジス川から流すことに。玉のような男の子は耳に金のピアスをして誕生。ガンジス川を下って優しい養父母に拾われてたくましく優しい青年に育ちます。これが勇者カルナ(迦楼奈=菊之助)の誕生秘話。このカルナを主人公にしたのは何故だろうと考えると、登場人物の中で一番の中庸の人物だという事。最終的には百王子側につくけれど、彼は五王子の兄で、神から平和を託されているが公には出来ない。実の母、兄弟達に名乗れない孤独な存在です。この複雑さと悲劇性が正に歌舞伎のヒーロー。






しばらくしてクンティは帝釈天の子供も身ごもります。しかしこの時はすでに結婚していたので堂々と出産。これが五兄弟の三男アルジュナ(阿龍樹雷=松也)です。ほかに長男ユディシュティラ(百合守良=坂東彦三郎)。次男ビーマ(風韋摩=坂東亀蔵)。ほかの王妃の生んだ双子ナクラ(納倉=中村萬太郎)とサハディーヴァ(沙羽出葉=中村橋之助)がいます。そしていとこたちが百人。長男ドゥリョーダナをこの芝居では七之助扮する長女(鶴妖朶姫)に置き換えています。七之助が貫録があって素晴らしい。


異父兄弟との葛藤。五王子と百兄弟の確執。お馴染みの国を賭けた賭博シーン。この場ではユデイシティラのお人好し。奸智に長けたドゥリョーダナの凄みが際立ちました。カルナが聖者にかけられた呪いで戦車の車輪が外れるエピソード。親類同士の戦いに悩むアルジュナにクリシュナ(仙人ク理修那=菊五郎)が見せる一切相(ヴィシュヴァルーパ=万物の根源としての自分の姿)など、インド舞踊や芝居、映画などで外せないエピソードはシッカリ入っていてよくまとめたなと感心。2~3年前から構想していたそうです。納得。














今日の席は2階の二列目ど真ん中。屏風形の背景と回り舞台がよく見えるいい席で大満足。


このスチール写真、インドで撮影したそうです。リシケシか、ハリドワールか



歌舞伎座のHPに出ていた写真を参照します。女性カメラマンのリポート。


冒頭の神々の会議の場。カタカリ風の衣装が素敵。白と金の色遣いがゴージャス。背景もインドインドではなく、三月堂をイメージしたそうです。ここに写っている背景は屏風のようにたためて真っすぐにも、屏風形にも、両端を合わせて大きな筒のようにも使って舞台に様々な表情を与えています。




児太郎扮するドラゥパティ(弗機美姫)が象に乗ってお目見え。叙事詩では婿選びの競技に勝ったアルジュナが姫を伴って帰宅し、母クンティに素晴らしいものを得ました伝えたが、母は姫を見ずに食べる物だと思い兄弟五人で仲良くわけるようにと言います。一度口にした言葉は神聖なので守らないといけません。そのため五王子たちの共通の妻になったといわれています。翻案ではそれではあんまりだと考えたのか? 松也扮するアルジュナの婚約者になっています。楽しい婿選びの様子が演じられます。






クンティの長男ユデイシティラは法を司るダルマ神との子供。正義感に溢れ秩序を守る性格です。風神とクンティの間に生まれたのがビーマ王子。風のように疾る血気盛んな性格です。このクンティという女性は凄いですね。神様との息子を三人も生むなんて、
この場はビーマと森に住む魔物の娘、森鬼飛(梅枝)の恋の道行。





最期の戦いに臨むカルナ。



七之助演じる百王子の長女、鶴妖朶姫。今回この役を女性にしたことで、どちらかというと悪役キャラが目立つ百王子側の正統性が際立ちました。そもそもこちらが本家、五王子側は分家です。七之助の魅力で両者のバランスがよくなったようにみえます。また、カルナと同じく孤独を抱えている人物に描かれているので、この二人の友情を超えた男女間の愛情も感じられました。そして虚しい戦に進んでく人間の悲劇も。



五王子達、長男、二男、三男と並ぶ様子。赤い顔がビーマ。



クリシュナ役の菊五郎。

この通し狂言を見てインド神話と歌舞伎がとても似た世界観を持っていると思います。天命、義理、友情、破天荒な主人公。荒唐無稽なストーリーなのにすんなりと受け入れられる不思議。楽しい舞台でした。

劇団新感線



シネマ歌舞伎で染五郎主演の劇団新感線の阿弖流為を見て一度生の舞台を見たいなと思っていたら、やっとチャンスがきました。友人の晴子ちゃんの唯一の趣味が向井理君。超美人なのに仕事以外に興味を持たなかった晴ちゃん。今では向井君が出演する舞台、映画はしっかりチェック。チケットを取る苦労も厭いません。という訳でチケットを取るのが難関と言われている新感線の前から四列目の神席をゲット。ファンのパワーは凄い。


今話題の豊洲市場前にオープンしたℹ︎Hℹ︎ ステージ アラウンド 東京。今年から来年にかけて一年三カ月の杮落としに選ばれたのが劇団新感線の名作、髑髏城の七人。このロングランヒットの作品を花鳥風月、極の五つのタイトルで、それぞれ異なる俳優陣、演出で上演するというファンならずとも気になる企画。おまけにこのアラウンドステージ。ドーナツの形のステージとスクリーン。真ん中の穴に客席があって客席が向きを変えるという。
はて? 百聞は一見にしかず。
晴ちゃんは向井君。私はステージの構造に胸ときめかせていざ劇場へ。


さあ〜ここから客席へ。中は撮影禁止。壁にかけてある座席表。前から四列目。しかも今日は撮影日なので前二列が使用禁止。ステージがより近い。
ロックの響きと共に開演。客席がグーンと回転してプロジェクションマッピングの映し出されたスクリーンが開いて役者が登場。スピーディな展開、マッピングやステージの特徴を生かした演出。役者が荒野を歩くシーンでは客席にも一瞬風が吹き渡る。楽しい体感と美しい役者達に休憩を入れて四時間弱の芝居もあっという間。


初めての新感線体験。芝居も劇場も楽しくて、帰りの車中では二人共テンション高い。

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