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団菊祭



今月の歌舞伎座は団菊祭。7世尾上梅幸、17世市村羽左衛門 の追善興行と銘打ち、坂東彦三郎改め葉善。亀三郎改め彦三郎。亀寿改め亀蔵。亀三郎の息子が新亀三郎を襲名する親子三代のめでたい襲名披露もおこなわれました。先日テレビで放映された歌舞伎座で行なわれた俳優祭。若手役者達を仕切っていたのが亀寿。声がよく、中堅俳優として頼もしい。

最初の演目は 壽曽我対面。まさに歌舞伎の様式美。富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤左衛門祐経 (菊五郎)の屋敷にずらりと並んだ諸大名。そこへ曽我十郎、五郎の兄弟が現れ、弟の五郎が父の仇と工藤を討とうと迫ります。しかし兄の十郎は弟を諌めます。それを見た工藤は紛失した源氏の家宝、友切丸を見つけよと諭します。
そこへ折良く現れた曽我の家臣が友切丸を手に駆けつけます。工藤は兄弟に打たれる覚悟を決めて、2人へ狩り場の通行手形を与え再会を約束します。全てお約束どおりの絵巻物のような華やかな一幕。最後の大見得シーンの代わりにここで襲名口上。なるほど、色々なパターンがあるのですね。


華やかな襲名口上の後は、伊達騒動を背景にした時代物大作、伽羅先代萩 めいぼくせんだいはぎ。1度見たかった作品なので嬉しい。
御家横領を企む執権、仁木弾正(海老蔵) らの経略により乳母の政岡(菊之助)は、若君 鶴喜代を守るため息子千松と共に御殿の奥に籠っています。毒を盛られるのを恐れて食事も自分で作って与えています。支度が遅くなったある日、若君は武士の子は食べなくてもひもじゅうないと言います。子役2人がけなげです。
この後、管領山名宗全の妻栄御前が見舞いと称して毒入の菓子を持参して若君に勧めます。かねてから若君の毒見をするよう教えられていた千松は菓子を取り一口食べてもがきます。それを見た仁木の妹八汐が、この不届き者と千松を壊刀で刺します。幼い千松をチクリチクリと責め殺す歌六の表情の恐ろしさ……。
千松が殺されるのを見ても顔いろを変えない政岡を見て 取り替え子をしたと早合点した栄御前は、仲間だと思いこみ、悪事を画策した一味の連判状を渡します。
皆が去った後、千松の遺体を抱きしめ号泣しながら、お前のおかげで一味の悪事を証明する証拠が手に入った。ようやった、ようやったと息子に語りかける政岡。
この政岡は女形の中で最高の大役だと言われている難しい役だそうです。確かにこの心理描写は難役。
その夜、政岡の本当の忠義心を知った八汐が連判状を取り返しに来ますが、政岡に殺されます。しかし妖術を使い鼠に姿を変えた仁木弾正が連判状を盗んで床下へ逃げます。
場が変わって床下で宿直をしていた忠臣荒獅子男ノ介(松緑)が鼠を捕らえようとしますが、取り逃がしてしまいます。鼠姿の役者が、花道のスッポンに落ちると入れ替わりに海老蔵の仁木弾正が煙と共に出没。薄暗闇に怪しい魅力を見せてくれます。この短い場は男ノ介の荒事と仁木の怪しい美しさで歌舞伎のエッセンス満載。
いよいよ大詰め。対決、刃傷の場。鶴喜代の老臣、渡辺外記の訴えにより幕府の門註所(裁判所)で仁木弾正との対決が行われる。弾正に加担している山名宗全が外記を罪に落とそうとするところへ、出張中の細川勝元が戻ってきて仁木弾正の罪を弾劾し、外記側が勝訴となる。
罪に服した弾正は控えの間で前非を悔い改めたと外記に近づき、隠し持っていた短刀で襲う。館は大騒動になり、瀕死の外記は人々に助けられ弾正を殺す。そこへ届いたのが御家存続の吉報。
この仁木弾正が敵役の大役だそうです。堂々とした傲慢不遜な面構え。妖術を使う怪しい色気を持つ悪人。こう書くと海老蔵にぴったりのはまり役のようだけれど、何か物足りなさを感じます。自分の持ち味だけに頼ってはいけないんということかしら?
一度見たかった先代萩、玉三郎と吉右衛門だとどんな芝居になるでしょうか?


最後の幕は松緑と襲名した亀蔵、2人の華やかな舞踊。屋台の山車に飾られていた神功皇后と竹内宿彌の人形に魂が入り語ります。そこから一転、2人の漁師に善玉、悪玉が乗り移り軽快に踊ります。さらに一転、文殊菩薩が住む天竺の霊地にある石橋。獅子の精が現れ勇ましく毛を振り、獅子の座へと直ります。亀蔵は踊りの名手松緑の胸を借りて立派に相手を務めています。最後に石橋がなかったら、コミカルなだけで寂しすぎる幕。派手な毛振りがあってようやく観客の気持ちも収まりました。

お祝いの幕。

この四方が今日の襲名の主役。

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