« 港カフェへようこそ | トップページ | 二人の桃太郎 »

初春大歌舞伎




今年初めての歌舞伎座。それも千穐楽。大入り御礼が誇らしそう。



夜の部はお芝居、舞踊、お芝居。


夜の部の最初の演目は『伊井大老』開国か攘夷かで国中が揺れている時に安政の大獄で若者達を捉え、開国を推し進めようとしている伊井直弼は暗殺の危機にさらされています。そんな中、千駄ヶ谷の別宅に住む愛妾お静の方との間に設けた鶴姫が危篤に。正妻お昌の方はおっとりした性格であまりやきもちも焼かず、殿様にお見舞いに行っていただかなければと心配してお付きのお女中達を焦ったがらせています。雀右衛門の雰囲気にぴったりなお嬢様育ちの人のいいお昌の方。片や玉三郎演ずるお静の方は可愛いやきもちを焼く情の深い女。不幸にも幼い姫は亡くなり、数ヶ月後の月命日。明日は雛祭りという日に直弼の旧知の仲である仙英禅師が訪れて鶴姫の仏壇に線香をあげています。お静の方は仏門に入りたいのに、自分がいなくなった後に直弼がお昌の方と睦まじく暮らしていくであろうと想像すると気持ちが鈍ると相談する、禅師はなんと正直な可愛らしい方だとお静の方を評した後、ふと直弼が書いた書を見て暗剣の相があるのを見抜く。お静の方にあなたの悩みはちがうものになるだろうという。折しもやって来た直弼に会わず、一期一会と書いた編み笠をおいて立ち去る。
編み笠に書かれた一期一会を見て幸四郎演じる直弼は、自分の身に起こるであろう運命を予感する。
夕暮れになり急に冷たい風が吹いてくる。お互いにこれから起こるなにか不吉な予感を振り払うように雛祭りを祝い、酒を酌み交わし二人が出会った15年前の埋木舎時代の話に興ずる。この場面の玉三郎の愛らしく艶やかなこと。直弼が十四男坊で故郷埋木舎に住んでいる頃は手元も不如意で二人で質素に暮らしていたというセリフにびっくり、そして納得。お静の方とはその頃からの情のこもった二人の時間が流れているのが伝わってくる素敵な場面です。
友人は去年雀右衛門が演じたお静の方と幸四郎でこの場面を見たそうですが、何と言っても玉三郎に軍配と言っていました。そうでしょうね。このお静の方は本当に女の中の少女がそのまま残っていて、若い頃の部屋住みの直弼と足軽の娘お静が語り合っているように見えました。
折しも庭の桃の木に何やら白いものが。奥で雛祭りを祝っていたお女中達の賑やかな声が聞こえてきます。明日は雪が積もるかもしれない。雛祭りに雪が降ったらお雛様が驚きますねと。
伊井大老暗殺前夜のひととき。



今年は中村富十郎の七回忌。長男鷹之資が故人の得意な演目『越後獅子』を踊って偲びます。日本橋に越後からやって来た角兵衛獅子は踊りや軽業を見せて門銭を稼いでいます。浜歌やおけさを踊り、長い布を自在に扱う 布さらしを見せて観客を喜ばせます。富十郎といえば高齢で結婚してお子さんを設けたという話題でワイドショーを賑わせた記憶があります。お父さんが亡くなった時に 小さな男の子だった遺児が立派に舞台を務めている姿に思うところある方達も多いのでは。泉下の富十郎が目を細めているのでは。
富十郎といえばアズマ歌舞伎で有名な吾妻徳穂の三男。二代目吾妻徳穂は彼女 の孫で四代目鴈治郎の妻。彼らの息子が今回も歌舞伎座に出演している壱太郎。🤔うーん、ということは年は下だけれど鷹之資は壱太郎のおじさんか? 歌舞伎の姻戚関係は複雑怪奇。



暗転から一転、華やかな吉原の街並み。吉原一の美貌を誇る松の位の傾城が花魁道中。この『傾城』という曲では愛しい間夫への心情や吉原 の四季折々 の出来事を玉三郎が艶やかに踊ります。



最後の演目は外から見た 忠臣蔵『松浦 の太鼓』。討ち入り前日俳諧師宝井其角(左団次)は日本橋で赤穂浪士の大高源吾(愛之助)に出会います。源吾は落ちぶれた風情で煤払いの箒行商をしています。もともと風流を好み其角の弟子でした。長いこと行商をやっていると堅苦しい侍の社会に戻る気がしないと言う源吾に其角は「年の瀬や水の流れと人の身は」という句に下の句をと頼みます。すると源吾は「明日待たるるその宝船」という句を詠んで立ち去ります。
場面変わって松浦鎮信(染五郎) 屋敷では其角の指導で句会の最中。松浦は大石内蔵助とは軍学者、山鹿素行の塾の同門。赤穂浪士達を密かに応援していたのに、いつまでも行動をー起こさない大石に内心腹を立てていた。源吾の妹(壱太郎) は其角の口利きで松浦家に奉公しているが、突然暇を出されます。なぜなのか、本人はもとより周りの御家来達も腑に落ちません。其角が尋ねてもはっきり答えくれません。この時の松浦の拗ねたような駄々をこねているようなお茶目な雰囲気はこの役を得意とした吉右衛門風だそうです。染五郎はこういう役が上手い。かたやおとぼけの左団次。面白くない訳がない。それでは妹はしばらく其角が預かりますとお暇する時に、そういえば昨日源吾に会いました。と伝えると、にわかに何か言ってなかったかと問う松浦。落ちぶれた姿が哀れで歌を詠んで下の句を詠んでもらいました。してその歌は?と矢継ぎ早に問いただす松浦。そこで其角が歌を披露。「年の瀬や水の流れと人の身は 明日待たるるその宝船」
その歌を聞いた途端に二人に戻れと言います。そこへ隣の吉良邸から陣太鼓の音が。満面の笑みを浮かべた松浦。今宵赤穂浪士達が吉良邸へ討ち入りしたのをこの下の句で悟り、追い打ちをかけるように聞こえてきたこの陣太鼓、これこそ同門だからこそわかる大石の打ち鳴らす山鹿の勝利の陣太鼓。
そこへ駆けつけてきた討ち入り装束姿の源吾。まず第一 に松浦様へご報告に上がりましたと、仇討ち成功の顛末を語ります。あっぱれ四十七士。後のことは心配するなと言うシーンで大団円。初めて見たけれど楽しい芝居。友人は吉右衛門で見たそうです。歌舞伎の面白さは役者が変わると同じ芝居でも所作が変わったり出方が違うなどあるし、上方歌舞伎も 違うそうだし、見比べる楽しさがあるのですね〜。


この歌舞伎絵を見るのも楽しみ。芝居の内容、役者をよく捉えています。


ロビーに飾られていた中村富十郎さんのお写真。千穐楽なので役者さんの奥様方もたくさんお見えになっていて華やかです。もちろん愛之助さんの奥様も。

« 港カフェへようこそ | トップページ | 二人の桃太郎 »

芸能」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1196131/69393557

この記事へのトラックバック一覧です: 初春大歌舞伎:

« 港カフェへようこそ | トップページ | 二人の桃太郎 »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

プシュパム・メンバーのブログ ↓