« 書道三昧 | トップページ | 今日の練習 »

いがみの権太




雨に濡れる歌舞伎座。今月は義経千本桜の通し狂言。朝、昼、夜と三部上演。昼の部『いがみの権太』を見に来ました。


一幕目は『木の実』三位中将平維盛の行方を捜している若葉の内侍(東蔵)。若君の六代。そしてお供の主馬小金吾(尾上松也)。維盛が高野山にいると聞いた三人は高野山に行く途中、吉野の下市村に行く途中の茶店で休んでいました。店の女将(秀太郎)は若君のための腹藥を貰いに行くので店番を頼んで寺へ出かけていきました。そこへやってきたのが無頼漢の権太。実はこの店の女将は権太の女房です。旅の三人は栃の実がたくさん落ちているので拾っていました。それを見た権太は落ちている実は鳥に喰われているから木から落とした方がいいと言って石を投げて木の実を落として上げます。そしてわざと荷物を間違えて立ち去ります。木の実取りも一段落。さてと小金吾が荷物を見ると取り違えられているではないか。中をあけてみるとからっぽ。あの男めといきり立ったところへ権太が慌てて引き返してきます。同じような振り分け荷物。うっかり間違えてしまいました。どうぞ中をお確かめ下さい。と丁寧に謝ります。中身は無事。ではこれでと小金吾が立ち上がると、自分の荷物を調べたのなら、あっしの荷物も改めさせて貰いやす。こう言って自分の荷物を開け、20両なくなっていると騒ぐ。ここから権太の本領発揮。幸四郎はいい人ぶって実は悪というキャラクターが上手い。声の質なのか凄みがある。
騙りと知りながら、みすみす二十両とられるとは、申し訳ありませんと嘆く小金吾。こういう男にあったのが災難。早く離れて忘れましょうと道をいそぐ三人。
そこへ帰ってきた女将と息子。親子三人が仲良く家路につくシーンに味わいがある。秀太郎は出番が少なくても存在感抜群。印象に残る役者ですね。
その頃、平家討伐の追っ手が迫り、小金吾は若葉の内侍と若君を逃し、大立ち回りの挙句討ち死にしてしまいます。この闇夜の戦いのシーンは小気味良い役者の動きと、綾取りの様に巧みに変化する追っ手縄の動きとが合間って躍動感溢れるいい一幕。松也は見るたびに成長している感がある。
討ち死にした小金吾が横たわっているところへたまたま通りかかったのが権太の父で、すし屋の親父、弥左衛門。実は彼は維盛の父重盛(平清盛の息子) に恩義があるので維盛を下男の弥助としてかくまっている。その弥左衛門が小金吾の死体を見つけて閃いたのはこの首が何かの時に役に立つかもしれないということ。刀を打ち下ろし小金吾の首をいただくことに。
以前菊五郎のいがみの権太を観た時は小金吾討ち死にの幕がなかったので、会合帰りの弥左衛門が拾った首を家に持って帰りすし桶の中に隠すというシュールな展開でした。今回この幕を見たのでそれぞれの性格、関係、主義も良く分かってより面白く見ることができました。


すし屋の店では勘当された権太が父の不在を確認して母親に無心に来てまんまと大金を手に。ところが帰ろうとした時に父親の姿を見かけ慌てて金を並んでいるすし桶の中に隠し家を出て行きます。そこへ帰ってきた弥左衛門。背中に隠した首をやはりすし桶の中に隠します。これはまさに観客の喜ぶ設定。そのあと戻った権太はお約束通り間違えて首の入った桶を持って帰ります。この時権太がすし桶を抱えて花道で大見得を切るところが悪党だけれど憎めない権太の魅力全開。
一方すし屋の娘お里(猿之助)は弥助(染五郎)に惚れている。親達はゆくゆくは夫婦にと考えているが当の弥助は二婦にまみえずの思いを貫いているのでお里の思いは叶わない。この場面のお里の口説きが見もの。猿之助のお里は明るくて可愛い。
夜更けに宿を乞う声が聞こえ戸を開けると若葉の内侍と六代の姿が。夫婦親子の再会となる。鎌倉から維盛詮議のため梶原景時が来るというので、すべてを察したお里が三人を逃します。
梶原景時がやってきてすし屋の店で詮議が始まるとやってきた権太。維盛を打ったと首を差し出し、おまけに若葉の内侍と六代をお縄にして連れてきます。景時は首を確認、ほうびの陣羽織を権太に与えて親子を引っ立てて行きます。
怒った弥左衛門が権太を刺してしまいます。虫の息の権太がここで思いがけない真実を告白。なんと維盛の首と言って差し出したのは例の小金吾の首。そして連行された親子は権太の女房と息子だと言うのです。悪党だけれど実は親父が大好きな息子。そこへやってきた本物の維盛。実は褒美にもらった陣羽織の裏には維盛を出家させよという暗示があり、維盛はそれを受けて出家する。景時、いや鎌倉幕府はこのカラクリを知っていて権太の命を犠牲にしても維盛が死んだと言うことを天下に知らしめることが大切だったという内情が。





これは今回の義経千本桜の通し狂言の人物相関図のパンフレット。第一部のヒーロー、碇知盛。第二部のいがみの権太。第三部の源九郎狐。相関図のおかげでようやくそれぞれの人間関係が掴めます。

今日は昼の部なので幕間の休憩時間が短い。歌舞伎座の裏にある歌舞伎そばで腹ごしらえしましょうと初めて行ってみました。カウンターだけの狭い店内は満席だけれど、すぐ席が空きます。一番お勧めの天ざる。安くて美味しい。

« 書道三昧 | トップページ | 今日の練習 »

芸能」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1196131/66004769

この記事へのトラックバック一覧です: いがみの権太:

« 書道三昧 | トップページ | 今日の練習 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

プシュパム・メンバーのブログ ↓