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新作歌舞伎


友人に誘われて四月歌舞伎の夜公演を見に来ました。友人は宮崎出身でお姉さんの一人が熊本在。この地震で家は住める状態ではなく、車の中で生活しているそうです。心配で仕事も手につかないので、思い切って歌舞伎で元気をつけることにしたと言います。地震大国に住んでいる私達。いつどこで遭遇しても不思議ではないと肝に命じていないと。
ちょうど昼公演が終わった時間で、満足げな顔をした観客でごった返ししている歌舞伎座前。向かいのビルに映る歌舞伎座。


一部は仁左衛門主演の『彦山権現誓助剱 ひこやまごんげんちかいのすけだち』 杉坂墓所、毛谷村の二幕。

百姓ながら剣の達人六助はつい先日母親を亡くし、杉坂墓所で墓参りをしている。そこへ老婆を伴った浪人が通りかかります。母を亡くしたばかりの六助が話しかけるとその浪人は余命いくばくもない母親のためになんとか仕官したいと旅をしているという。浪人に名前を尋ねられ六助が名乗ると、その名を聞いてビックリした浪人が土下座をする。実は六助を召し抱えたい藩主が何度も仕官を要請するが六助にはその気がない。そこで六助と御前試合をして打ち破った者を師範として召抱えるというおふれが出ていたのである。なんとしてでも仕官して親孝行をしたい。恥を承知でその試合で負けてほしいと頼まれます。
親孝行したい時には親はなし。六助は負けてあげるとその浪人、微塵弾正に約束します。喜んで去っていく微塵弾正。
母の墓前に報告し、水を取りに谷川へ降りていく六助。そこへ幼い男の子を連れて悪人に追われている男が逃げてきます。六助が戻った時にはすでに虫の息。子供を頼むと合掌して死んでしまいます。
幼い男の子を預かった六助。きっと身内を探し出して無事渡しますと死んだ男に約束します。

場面替わって六助の家の前。御前試合が始まり二人の勝負。つい本気になって勝ちそうになり慌てる六助の慌てぶり。仁左衛門のおっとりした品の良さが出ていい六助。
うまく負けてあげた六助。審判役の侍達に大口叩いたわりにお前も大したことないと揶揄され、挙句の果て負けてあげた微塵弾正に扇子で額を打たれる。憎々しげなこの男の正体をここで見せている。歌六は悪役が上手い。
六助は子供の身内が見つけられるように物干しに子供の着物をかけている。それを見て旅の訳あり老女が宿を乞うてやってくる。六助に母になってあげようと言う。何をおっしゃる、どうぞお休みくださいと別室に。ここら辺から舞台にコミカルなリズムが。
次に訪ねてきたのは怪しい虚無僧。偽物と見破った六助を襲うがそこへ子供が出て来ておばさんと呼ぶ。なんと彼らは六助の剣の師匠、吉岡一味斎の娘と孫。怪しい老女は妻女。おまけにこの娘は怪力の持ち主。父にゆくゆくは六助と夫婦になるよう言われていたと六助に迫るところがかわいい。孝太郎演じるこのお園がぴったりはまり役。初めは六助を仇だと思い込み襲うが、実は許嫁だと知った瞬間に驚いて石臼を軽々と動かし、それを恥じる様子に初々しい乙女の色気と怪力女という不思議な魅力を見せてくれる。元気な女どもに押されるようにあっという間に祝言のシーンに。これには観客も大笑い。そして六助は吉岡一味斎が京極内匠という悪人に討たれたことを知ります。しかもその京極が自分が負けてあげた微塵弾正だということが判明。裃を身につけ敵討ちに出るシーンで幕。見所沢山の魅力的な芝居。



さて次の演目は高野山開創1200年記念の新作歌舞伎、『幻想神空海 沙門空海 唐の国にて鬼と宴す』染五郎のたっての希望で夢枕獏氏が書き下ろした作品だそうです。な、なんと2時間20分休憩なし。華やかなオープニングは宝塚歌劇をみているよう。染五郎の空海、松也の橘逸勢が酒場で丹翁という老人と思いでを語るシーンから始まります。2年前不思議な術を使う丹翁と出会った二人。その頃空海は密教の教えを学びたく今をときめく青龍寺から声をかけられるチャンスを探していました。ある日訪れた妓楼で化け物に取り憑かれた男と鉢合わせ。その男の憑き物を取り除いてあげます。ところがその男の家では化け猫が妻に取り付いているという。後日招かれてその家へ。化け猫に取り憑かれた春琴(児太郎)が妖艶な色気があっていい。黒い服をスラリと着こなし頭の上に黒猫を載せている姿にはビックリ。衣装方も苦労をしたのですね。
取り憑いている化け猫の力は大きくその根は深い。一体どんな怨念が?なんと50年前に傾城の罪で絞首刑に遭った楊貴妃の怨念。美しく生まれたがために波乱の人生を送り、なぜ私が死ななければいけないのと、悲痛な声を残して亡くなった貴妃。そこへ現れたのが楊貴妃の幻? 先日襲名した雀右衛門が楊貴妃。昔、玉三郎の楊貴妃を見たことがあるのでどうしても比べてしまいます。ちょっと地味目の楊貴妃でした。
話がよくわからなかったけれど、どうやら貴妃には恋人がいてそれが冒頭に出て来た丹翁。貴妃は白龍という柔術使いの幻術でこの世を彷徨っている。この白龍は貴妃に横恋慕していて何度も貴妃を抱くがその度に貴妃は恋人の名前を叫ぶという艶めかしく切ないセリフ。二人の男は年老いているが、気のふれた貴妃は年をとることも忘れて昔のままの艶やかさという設定。またそこに大ボス、貴妃の父親黄鶴登場。すったもんだの挙句白龍が黄鶴に殺され、その黄鶴を貴妃が殺す。そこで実は気のふれたふりをしていたことがわかる。もう何が何だかわからない⁉️ 貴妃が供えてあったライチを食べるシーンはなかなか哀れを誘う。雀右衛門は華やかさよりも、何か哀れを誘う雰囲気があってそこが魅力かも。
この作品ももう少し練っていくと 名作になって残るのだろう。今の段階では場面展開が早くて面白く見ているけれど、人物それぞれが描写されていないので物語の流れだけを追ってしまう。名作と呼ばれるようになるその日まで頑張れ‼️
若い役者達が元気に演じていて楽しめる。

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コメント

ご無沙汰しております。お友達のご家族心配ですね。何回も大きな地震が来るとは思いませんでした。現在私は妹と二人でいるので、どうにか心強いです。明日は我が身ですね。

鈴さん

お久しぶりです。宮崎もずいぶん揺れたと思います。熊本は信じられないくらい余震があって、雨も降って大変な状況ですね。友人は昨日から法事のために宮崎入りしました。熊本のお姉さんはしばらく宮崎にいる一番上のお姉さんのところで暮らすそうです。鈴さんは妹さんと一緒だそうで心強いですね。私は母と一緒です。年取っていますが戦争を体験しているので私より度胸が良くて強いです。東京近辺でこんな大きな地震があったら、すごい被害が出るだろうなと皆が覚悟を持たないと。地下はどんどん掘られ、高層ビルはどんどん建っています。

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