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二月大歌舞伎

二月大歌舞伎の夜の部。仕事が忙しく、雑務に追われている友人。こんな時だからこそ浮世離れの歌舞伎を楽しもうと強引に誘いました。

新年の寿ぎ感じる一月fuji、吹く風が春めく華やかな三月cherryblossomの狭間。ちょっと地味な二月です。

第一部は『ひらかな盛衰記  源太勘當』鎌倉の梶原平三景時の館。景時と長男源太景季(中村梅玉)は平家討伐のために出陣中。次男平次景高(錦之助)は兄の恋人腰元の千鳥(孝太郎)に横恋慕して病気と偽り出陣しない。
そこへ父から母延寿(秀太郎)の元に手紙が届く。それは宇治川の先陣争いで佐々木高綱に敗れた源太を切腹させよという内容。そこへ源太が帰還する。実は佐々木が父の命を救ってくれた旧恩に報いるために先陣を譲ったのである。それを知った母は源太に頼朝から拝領した産衣の鎧を与え、勘当し 千鳥と共に逃がしてあげる。
これは厳格な父、優しい母。出来のいい色男の長男。憎まれ者の次男。美しい腰元。というどこにでもありそうな家庭悲劇と言われています
それぞれのキャラクターを強調して様式的な場面が展開されます。どちらかというといつも二枚目役の錦之助が傍若無人な次男坊を楽しそうに演じているのが新鮮。

二部は『籠釣瓶花街酔醒 かごつるべさとのえいざ め』講談の吉原百人斬りを基に脚色された世話物。一度見たかった作品です。佐野の次郎左衛門(吉右衛門)はあばた面だが真面目な絹商人。下男と一緒に江戸みやげにと吉原を訪れる。田舎者の二人にとって吉原は夢のテーマパーク。 丁度花魁道中に出くわしそのあまりの美しさに仰天。最初の道中は花魁九重(梅枝)。そして次に出くわした運命の花魁八つ橋(菊之助)の道中。花道に差し掛かってふと振り返る八つ橋と次郎左衛門の目が合ってしまう。素朴な田舎者の男が恋に落ちた瞬間。ちょうど私たちの席は二階の花道寄りで、まさに振り返り、微笑む菊之助の顔が開いた花のように見える場所。これはたまらないだろう。「宿へ帰るがいやになった」という次郎左衛門の言葉がすべてを物語る。ここで一幕切れ。
田舎者ながら羽振りのいい次郎左衛門は足しげく八つ橋のもとに通うようになります。そんなときに八つ橋の所属する店立花屋から身請けの話が次郎左衛門に。その話を聞いた八つ橋の保証人釣鐘権八(なんでこんなやくざのような男が保証人?)が立花屋に借金の申し込み。それをきっぱり断る立花屋。怒った権八は八つ橋の情人繁山栄之丞(菊五郎)をそそのかして「俺を取るか次郎左衛門を取るか」と迫らせる。この実際の親子が恋人役で演じる色恋の悶着のやりとりもなかなか・・。
八つ橋は思い余りいざ身請けの祝言の場でまさかの愛想づかし。満座の中で恥をかかされた次郎左衛門。「花魁、それはないぜ・・・」が次郎左衛門の幕切れの言葉。
それから数か月。ぱったり音沙汰がなかった次郎左衛門が久しぶりに立花屋の座敷に。
喜んだ店の者が八つ橋を座敷に呼ぶ。その節はと詫びを入れる八つ橋の着物の裾を踏んで取り出したのは籠釣瓶と呼ばれる村正の妖刀。この男の心の闇はすさまじく深く、八つ橋を切り殺し、やってきた女中も殺す。メラメラ燃えている憎悪の炎が不気味な幕切れを象徴している。享保年間に実際に起こった事件をもとに成立した講談からできた歌舞伎の名場面。吉原百人斬りと言われているのだから、きっと大殺戮を行ったのでしょう。いつの世も人の抱える葛藤、嫉妬、憎悪、コンプレックス。こういうどうしようもできない心の隙間に根付く思いが事件や名作を生み出すわけだから人間て大変。吉右衛門の次郎左衛門、この男の持つその時々の思いがよく伝わって改めていい役者なんだなと堪能しました。
 
最後の演目は謡曲「松風」を素材にした舞踊劇 「浜松風恋歌」 須磨に流されていた在原行平には汐組の恋人松風がいました。その後、都に帰ってしまった行平を恋い焦がれて死んでしまった松風。その松風の霊が乗り移った小ふじ(時蔵)は正気を失い行平が残した烏帽子と狩衣を身にまとい、彼をしのんで舞います。そんな小ふじに思いを寄せる船頭此兵衛(松緑)が彼女に付きまといますが、自分の思いがかなわないことを知るや襲い掛かります。今は霊が乗り移っている小ふじは軽々と身をかわし、散々に彼を翻弄します。
おどろおどろしい演目の後、目が喜ぶ華やかな舞を堪能できる一幕。
仕事で疲れていた友人もこういう時間が大切だった。今日は来てよかったと一言。誘ってよかった。

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