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初春大歌舞伎

  初春大歌舞伎、夜の部を楽しんで来ました。まだ松の内なのでお正月モードに溢れていてワクワク感もアップ。

今日は日舞の田中さんと待ち合わせて銀座まで一緒に来ました。田中さんはこれから新橋演舞場でご贔屓の海老蔵を見る予定。来る途中に今日の演目の吉田屋の見どころをちゃっかりレクチャーを受けておきました。何しろ関東で公演している歌舞伎はここ数十年全て見ているので何でも教えてくれます。

 ロビーにはお正月らしく鏡餅。


今日の第一幕目は「猩々 ショウジョウ」中国、揚子江のほとりで水に住む霊獣の猩々が二匹、酒売りのもとに現れて好物の酒を所望。酔うほどにご機嫌になり酒の徳を歌いながら舞を舞ってくれます。やがていくら飲んでも尽きない酒壺を避け売りに与えて去っていくという春らしいめでたい演目。梅玉と橋之助が二人猩々。松緑が酒売り。



二幕目は「二条城の加藤清正」清正というと弟の節句に飾った虎退治の人形を思い出します。豊臣秀吉に使えていた清正は秀吉の死後秀頼に仕えています。豊臣家の取り潰しを目論む家康は秀頼を二条城に招き、隙あれば難癖をつけて滅ぼそうと思っている。秀頼はそれを知りながら自ら二条城におもむきます。清正は病身を押して秀頼の供をします。
秀頼は家康はじめ諸大名、大政所の居並ぶ中、立派に対応し無事対面を果たします。清正も毅然とした態度で秀頼を守り、船での帰途につきます。一刻も早く敵陣を抜け大阪城で待つ淀君へ秀頼の無事な姿を見せたいとはやる気持ちを抑えられない清正。清正をねぎらう秀頼に成長を見て感動する清正。幸四郎と孫の金太郎との絶妙な組み合わせでこの愛情あふれる二人のやりとりが色濃く浮き上がってきます。金太郎くん凛々しくて口跡もよくまさにこの場の秀頼にぴったり。眼を細める幸四郎もしかり。

三幕目は「廓文章 吉田屋」上方和事の代表的な作品だそうです。和事というのは勇壮な荒事に対して二枚目の色男の柔らかで優美な芸だそうです。上方和事は坂田藤十郎の派と仁左衛門の派があるそうです。

今回は藤十郎派。去年襲名披露を行なった鴈治郎が演じるのは放蕩の末に勘当された大店、藤屋の若旦那伊右衛門。この伊右衛門はなよなよした男のように思われているが、大阪人の意気地とでも言われる筋金が一本入っていると言われています。大金を失っても男のプライドはなくさないぞ!と。
お話はこの伊右衛門が大阪新町にある楼閣、吉田屋の格子先へ現れる場面から。恋文を張り合わせて作った紙子(紙の衣)に編み笠姿。(実際には歌を刺繍した布をつぎはぎした着物) 

みすぼらしい姿に店の使用人からは足蹴にされますが、主事の喜左衛門(歌六)と女将(吉弥)は昔の恩義を忘れず、伊右衛門が会いたがっている愛人の夕霧(玉三郎)に会わせてあげることに。

次の場面は大広間。なぜか真ん中に炬燵が。ここで伊右衛門が夕霧を待つ間のはやる心、そして夕霧が阿波の大尽の座敷に出ていることを知っての嫉妬など、微妙な男心を上方和事の粋を尽くして演じる場面になります。私の好みは拗ね具合といいい後ろ姿の色気といい絶対仁左衛門派になると思います(仁左衛門の演じたのを見ていませんが・・・)。

しかし襲名披露の時はうん?と思ったけれど、今日の鴈治郎はんはふすまを次々開けては戻りのなよなよぶりが板について、なるほどねという感じ。ここでいよいよ最後のふすまが開いて夕霧登場。伊右衛門は拗ねて炬燵でふて寝のふり。

ここまで義太夫だったのが夕霧(玉三郎)の登場とともに大広間のバックのふすまがバーンと開いて常磐津社中登場。びっくりすごい効果。田中さんが玉三郎の登場で彼女の義太夫の先生が歌うといっていた訳がわかりました。夕霧が寝たふりをしている伊右衛門を起こすしぐさが子供をあやすよう。一緒に並ぶと玉三郎のほうが背が高く花魁の髪型も大きいのでいつもより余計のけぞり、座ってポーズを決めています。拗ねる伊右衛門となだめる夕霧、そのうち痴話げんかに発展しますが、なんとそこに藤屋から伊右衛門の勘当を許す知らせとともに夕霧を身請けする千両箱が届きます。なんともおっとりした春らしいめでたい演目。

これはますます仁左衛門の伊右衛門を見てみたい!

 最後の幕は「雪暮夜入谷畦道・直侍 ゆきのゆうべいりやのあぜみち なおさむらい」 江戸情緒たっぷりの男女の色模様とサブタイトルが。これは楽しみ。

雪の降りしきる入谷の畦道を人目を避けるようにやってきた直次郎(染五郎)は悪事を重ねて追われる身。蕎麦屋を見つけ一休み。そこへもう一人やってきたのは按摩の丈賀(東蔵)。近くの保養所で病気療養中の花魁、三千歳(芝雀)のところへ治療に行く途中だという。それを聞いていた直次郎、実は三千歳は彼の恋人で、直次郎との別れが原因で病に。

店の外に出た直次郎は丈賀を待ち伏せて、三千歳に後で忍びあいに行くと書いた手紙を託す。夜がくれるのを待っているとそこに出くわしたのは弟分の丑松(吉之助)。再会を喜ぶ二人。しかし丑松は直次郎を追手に売り自分の罪を軽くしてもらう道を選んでしまう。

木戸をあけておいてもらった直次郎は恋人の三千歳としばしの逢瀬を。芝雀はうつむき加減の顔の表情が哀れを誘う。二人が次々に見せる男女の逢瀬を象徴する絡みのポーズ(見得)がなんとも言えない色っぽさで新鮮な驚き。

そこへ追手がやってきて再び逃げる直次郎。また一人になってしまった三千歳。雪の降りしきる畦道をスローモーションで駆け抜けていく直次郎。

二人の絡みも面白く、脇役も皆達者。面白い演目でした。

 今日のお弁当は三越特製。なんでも三越の中に入っているお店のお惣菜を組み併せて女性向に作ったそうです。happy01

 花道のそばだったのでご機嫌でした。

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