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12月大歌舞伎



12月大歌舞伎、今日は二日目。昼、夜とも若い女性のひたむきな恋がテーマ。銀座の街は雨で煙っています。







昼の部第一幕目は[本朝廿四考ほんちょうにじゅうしこう]の中の十種香。代表的な姫である八重垣姫の一途な恋物語です。姫君が主人公の話は初めてなので楽しみ。七之助の八重垣姫が美しい。松也が武田勝頼、福助の息子児太郎が腰元濡衣(なんて艶かしい名前)。
廿四考というのは中国の故事(孝行な人物二十四人を集めた)によるもので、俳優の様式的な技巧と情景の美しさを組合わせた舞台構成で、ある種マニエリスム的な面白さを楽しむ話だそうです。戦国の上杉武田戦争を中心にした全五段の浄瑠璃。今日はその5段目の前半。
武田家の一子、目の不自由な勝頼は切腹の命を受け恋人濡衣の前で自刃する。しかし実はこの勝頼は偽物で、本当に死んだのは蓑作という若者です。というのは幼い頃に家老がすり替えていたので。勝頼の死が公表されたのを幸い蓑作として育った本物の勝頼は長尾家(実際には上杉)に預けられている家宝の兜を奪い返すために濡衣と共に住み込んでいた。長尾家の姫八重垣姫は勝頼の許嫁(直接会ったことはなく勝頼の見合いの絵で しか知らない)で、婚約者の死を弔うために香を焚いて毎日回向しています。
この幕は御殿の中庭の前。上手に姫の部屋があり、正面の床の間に向かって回向しているため観客には美しい襟足しか見せません。下手側に濡衣の部屋があり、、鉦を叩いて勝頼(本物の 蓑作)のために祈っています。ある日姫は絵姿の勝頼とそっくりな蓑作を見て恋に落ち必死に口説き、ついには濡衣に二人の仲を取り持つよう頼みます。そうこうしているうちに本物の勝頼だと知りますが、そこへ長尾謙信が現れ簑助を塩尻に使いに出します。簑助を本物 の勝頼と知った謙信は塩尻へ行く途中で暗殺しようという計画。それを必死に止めようと父に頼む姫。この段はここまで。全編ほとんど姫が男を口説くシーン。
赤い打掛の姫、黒い留めそでの濡衣。 紫の着物の蓑作と三者が絡む場面がまさに様式美。前半は蓑作を勝頼と見間違え、それでもいいと濡衣に取り持って欲しいと頼むまでが姫のしどころ。単純な舞台なのに複雑な人物相関。濡衣の恋人は本当はどちら?亡くなった本物の蓑作なのか、ここにいる勝頼なのか? 通しで見ていないので濡衣と勝頼の関係がよくわからない。目の前に展開される錦絵を堪能すればいいのか?三者が口説き口説かれ身体をすり合わせるようなシーンは美しい三角関係図。恋のトライアングル。愛の迷宮?それにしても深窓の姫君の思いこんだら一筋の情熱に周りはタジタジかも。詳しい解説を読むと濡れ衣の恋人は勝頼の身代りとなってすでに切腹した偽の勝頼(ややこしい…)だそうさ。この本物の勝頼とは主従関係だそうだ。



二幕目は木下順二作、玉三郎演出の[赤い陣羽織]ある村のお代官(中車)は手柄を立てて頂いた赤い陣羽織がご自慢。村を視察する時はいつも着ています。この村にはお代官そっくりの見かけは悪いが、人柄の良いオヤジが器量良しで気立てのいい女房と仲良く暮らしていました。お代官はどうやらこの女房に惚れているようで、度々この家を訪れている。
ある日口実を作ってオヤジを捕らえ、その隙に女房に迫るが失敗。陣羽織を置いて退散。やっとの思いで逃げてきたオヤジがその陣羽織を見つけ女房が手篭めにされたと思い込む。その陣羽織を着て代官 になりすまして代官屋敷へ。
その頃代官も女房を諦め自宅へ。ところが出迎えた奥方は代官はもう戻っていますと入れてくれない。慌てた代官が私が本物だと言っても冷たくあしらわれる。果たして代官はどうなる…。そして勘違いしているオヤジと気立てのいい女房は? 肩の凝らない民話調のお話。



三幕目は[積戀雪関扉 つもるこいゆきのせきのと]以前、孝四郎と菊之助で見たことがあります。この時は菊之助が小町と桜の精を演じましたが今回は七之助と玉三郎が分けて演じます。貴族の姫である小町も、墨染という遊女も共にこの桜に繋がる象徴的存在で一心同体であると考えられ、二人の女は、宗貞、安貞という兄弟に恋をしている。そこから1人の女形が二つの役を演じるのが習わしになっているそうで、今回はあえて二役に振った演出のようです。
先帝の御陵を守る宗貞(松也)は先帝の愛した桜の木を移し菩提を弔っています。この桜は先帝の崩御を悲しみ薄墨色に咲いたところ、小野小町の歌の徳によりその色を増したことから小町桜とも、墨染桜とも呼ばれています。その小町が三井寺参拝のためにこの関を通りかかり恋人の宗貞に会います。小町(七之助)と宗貞が再会を喜んでいると関守の関兵衛(松緑)が二人の馴れ初めを聞いているうちに懐から割り符を落としてしまいます。小町が宗貞の弟安貞が謀反人により殺されたことを伝えると、鳥が飛んできて安定の肩袖を落としていく。宗貞は関兵衛が落とした割り符と片袖を見て、この関の守りである関兵衛が怪しいと急いで小町を都へ走らせます。
関兵衛こそ陰謀の首魁、大伴黒主で、今宵桜の木を切って護摩を焚くと天下を取れるという星占いを知り大見得をきり夜になるのを待っています。夜も更け小町桜を切ろうと大鉈を振り上げるとそこへ現れたのは傾城墨染(玉三郎)黒主を口説きます。墨染は安貞の恋人で小町桜の精が乗移り夫の仇を滅ぼそうとあらわれたのです。傾城から桜の精に移り変わる瞬間の玉三郎の美しさ。松緑も派手な見得が上手い。黒主と桜の精の絡みは正に一幅の絵のようです。





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