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阿古屋にうっとり!

十月歌舞伎座の夜の部。お楽しみは何といっても玉三郎の阿古屋。平家が壇ノ浦に滅んでから、その残党詮議が厳しく行われている京都の評定所が舞台。残党の中の大物は侍大将の悪七兵衛景清。その行方を探るため景清の愛人、遊女阿古屋が連行されてきます。尋問するのは情け深い秩父庄司重忠(菊之助)と情けを知らぬ岩永左衛門(亀三郎)の二人。拷問をかけようとする岩永を抑えて重忠が阿古屋の前に運んだのは琴、三味線,胡弓。阿古屋にこの三極を演奏させて心の乱れを知ろうという目論見。

重忠は白塗りの美しい侍。一方岩永は赤面で黒子二人に支えられての人形振り。まるで文楽の人形が演じているような、滑稽な様子、眉や目の動かし方が面白い。場面に変化をつけるためにしばしば人形振りで演じられるそうです。

捕物達に囲まれて花道から登場する阿古屋が素晴らしい、ため息が出るほど美しい。豪華な打掛に帯を前で垂らして結ぶ独特の花魁姿。花道近くの観客は瞬きもできなかったのでは?先日売店で阿古屋のポストカードを見つけたけれど混んでたので今日買おうと勇んで行ったら売り切れ御礼でした。ショック!

玉三郎の動きはこれ以上優雅なものはないだろうと思わせるようなねっとり、ゆったりしたしぐさで最初の登場から観客の心をつかんでしまいます。

岩永ががなり立てる中、重忠は阿古屋に曲を所望し彼女の心を探ろうとする。また阿古屋も演奏しながら自分の心の奥底を語ります。玉三郎は実際にこの三種の楽器を自身で弾き語りますがこれが凄い。特に胡弓の演奏はまさに人の心の琴線に触れる音色です。玉三郎の奏でる胡弓の音色だけが震えるように響き渡り、しわぶき一つ聞こえない広い会場で全員が一つに溶け合うような恍惚感。このシーンを見れただけで今日は満足。

ちなみに阿古屋はこの時に景清の子供を懐妊しているそうで、さりげないしぐさの中にその様子が現れています。また自分を疑うなら殺せと白洲梯子の上に身を投げるしぐさも遊女の意気地が見られるいい見得でした。ふうっと振り向く様子がなんて美しいの・・・。

三曲を披露する阿古屋の心に陰りなしと判断されて詮議終了。三者そろっての最後の見得に観客は大喜び。美しい芝居でした。歌右衛門の十八番であった阿古屋。美しいだけでは演じられない、この難役。平成9年の国立劇場で玉三郎が初めて挑戦したと聞きます。それから何度も演じられて来た阿古屋。次に継がれていくのは誰なんでしょう。

 お弁当休憩の後は二世尾上松緑の代表策と言われた「梅雨小袖昔八丈・つゆこそでむかしはちじょう」 髪結い新三。三幕六場一気上演です。物語は家運が傾いてきた材木屋白子屋。娘のお熊(梅枝)に持参金付きの婿を取ってしのごうとする母(秀太郎・相変わらずいい味出しています)。当のお熊は手代の忠七と言い交しています。家を取るか会いを取るか悩む二人にちょうど居合わせた廻り髪結い(出張髪結い)の新三(松緑)。二人をそそのかし駆け落ちさせる。しかし新三の目的はお熊をさらって身代金を要求すること。まんまとお熊をさらい忠七をいたぶってしまいます。

騙されたと知った忠七は大川に身を投げようとしますがそれを助けたのが源七という親分。娘の誘拐を知った白子屋では源七にお熊奪還を頼み10両を預けます。

しかし新三は10両ぽっちのはした金とうそぶき源七を辱しめます。そこへ登場したのがやり手の大家。源七を通して白子屋に連絡。30両でお熊を無事戻すと約束。新三を脅し透かし無事にお熊を返します。そのあとうまく言いくるめて30両を折半。新三に15両を渡して半分は自分の懐に。ところが最後の落ちでなんと大家の家にこそ泥が入ってタンスの中身を全部持っていかれてしまいまう。

最後の幕は恥をかかされた源七が閻魔堂橋で新三を襲う場面。新三はここで殺され源七はのちに大岡裁きを受けるという落ちがあるそうです。ここでは二人が絡んでいる見得にシーンで終幕。私としては無事に家に戻ったお熊のその後が気にかかるが・・・。どうやら新三は初めお熊に会った時は金にしようという欲だけだったのが、自分の家に監禁してから煩悩が起こり手米にしてしまうという場面では見せない裏があるそうな・・・。それを知ると余計気になるお熊のその後。忠七は逃げ腰だし、持参金付きの婿をもらってうまく生きてほしい。

この芝居にはちょっとだけ出てきて場をさらってしまう役者達がいます。まず仁左衛門。婿話を成立させるために序盤で登場した加賀谷の主人役。花道をゆったりと大店の主人の風格でやってきて婚礼話をひとくさり。観客は大喜び。

秀太郎演じる母親も娘に無理強いさせまいとしながら、結局うまく無理強いさせてしまう。このやんわりしたムードはさすが。

菊五郎演じるは肴売りの新吉。三枚卸になる小道具の魚をおろしながらで意気のいい粋な肴売りを楽しそうに演じています。菊五郎はこんなキャラクターがぴったり。

新三は江戸の粋なちょい悪男ですが、松緑が演じると生真面目で面白みがないような。先日の矢の根は面白かったのに・・・?祖父と父の豪胆さがすーっと身につくとといいのだけれど。



 今日のお弁当は神田明神下のみやびでした。

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