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2015年10月

阿古屋にうっとり!

十月歌舞伎座の夜の部。お楽しみは何といっても玉三郎の阿古屋。平家が壇ノ浦に滅んでから、その残党詮議が厳しく行われている京都の評定所が舞台。残党の中の大物は侍大将の悪七兵衛景清。その行方を探るため景清の愛人、遊女阿古屋が連行されてきます。尋問するのは情け深い秩父庄司重忠(菊之助)と情けを知らぬ岩永左衛門(亀三郎)の二人。拷問をかけようとする岩永を抑えて重忠が阿古屋の前に運んだのは琴、三味線,胡弓。阿古屋にこの三極を演奏させて心の乱れを知ろうという目論見。

重忠は白塗りの美しい侍。一方岩永は赤面で黒子二人に支えられての人形振り。まるで文楽の人形が演じているような、滑稽な様子、眉や目の動かし方が面白い。場面に変化をつけるためにしばしば人形振りで演じられるそうです。

捕物達に囲まれて花道から登場する阿古屋が素晴らしい、ため息が出るほど美しい。豪華な打掛に帯を前で垂らして結ぶ独特の花魁姿。花道近くの観客は瞬きもできなかったのでは?先日売店で阿古屋のポストカードを見つけたけれど混んでたので今日買おうと勇んで行ったら売り切れ御礼でした。ショック!

玉三郎の動きはこれ以上優雅なものはないだろうと思わせるようなねっとり、ゆったりしたしぐさで最初の登場から観客の心をつかんでしまいます。

岩永ががなり立てる中、重忠は阿古屋に曲を所望し彼女の心を探ろうとする。また阿古屋も演奏しながら自分の心の奥底を語ります。玉三郎は実際にこの三種の楽器を自身で弾き語りますがこれが凄い。特に胡弓の演奏はまさに人の心の琴線に触れる音色です。玉三郎の奏でる胡弓の音色だけが震えるように響き渡り、しわぶき一つ聞こえない広い会場で全員が一つに溶け合うような恍惚感。このシーンを見れただけで今日は満足。

ちなみに阿古屋はこの時に景清の子供を懐妊しているそうで、さりげないしぐさの中にその様子が現れています。また自分を疑うなら殺せと白洲梯子の上に身を投げるしぐさも遊女の意気地が見られるいい見得でした。ふうっと振り向く様子がなんて美しいの・・・。

三曲を披露する阿古屋の心に陰りなしと判断されて詮議終了。三者そろっての最後の見得に観客は大喜び。美しい芝居でした。歌右衛門の十八番であった阿古屋。美しいだけでは演じられない、この難役。平成9年の国立劇場で玉三郎が初めて挑戦したと聞きます。それから何度も演じられて来た阿古屋。次に継がれていくのは誰なんでしょう。

 お弁当休憩の後は二世尾上松緑の代表策と言われた「梅雨小袖昔八丈・つゆこそでむかしはちじょう」 髪結い新三。三幕六場一気上演です。物語は家運が傾いてきた材木屋白子屋。娘のお熊(梅枝)に持参金付きの婿を取ってしのごうとする母(秀太郎・相変わらずいい味出しています)。当のお熊は手代の忠七と言い交しています。家を取るか会いを取るか悩む二人にちょうど居合わせた廻り髪結い(出張髪結い)の新三(松緑)。二人をそそのかし駆け落ちさせる。しかし新三の目的はお熊をさらって身代金を要求すること。まんまとお熊をさらい忠七をいたぶってしまいます。

騙されたと知った忠七は大川に身を投げようとしますがそれを助けたのが源七という親分。娘の誘拐を知った白子屋では源七にお熊奪還を頼み10両を預けます。

しかし新三は10両ぽっちのはした金とうそぶき源七を辱しめます。そこへ登場したのがやり手の大家。源七を通して白子屋に連絡。30両でお熊を無事戻すと約束。新三を脅し透かし無事にお熊を返します。そのあとうまく言いくるめて30両を折半。新三に15両を渡して半分は自分の懐に。ところが最後の落ちでなんと大家の家にこそ泥が入ってタンスの中身を全部持っていかれてしまいまう。

最後の幕は恥をかかされた源七が閻魔堂橋で新三を襲う場面。新三はここで殺され源七はのちに大岡裁きを受けるという落ちがあるそうです。ここでは二人が絡んでいる見得にシーンで終幕。私としては無事に家に戻ったお熊のその後が気にかかるが・・・。どうやら新三は初めお熊に会った時は金にしようという欲だけだったのが、自分の家に監禁してから煩悩が起こり手米にしてしまうという場面では見せない裏があるそうな・・・。それを知ると余計気になるお熊のその後。忠七は逃げ腰だし、持参金付きの婿をもらってうまく生きてほしい。

この芝居にはちょっとだけ出てきて場をさらってしまう役者達がいます。まず仁左衛門。婿話を成立させるために序盤で登場した加賀谷の主人役。花道をゆったりと大店の主人の風格でやってきて婚礼話をひとくさり。観客は大喜び。

秀太郎演じる母親も娘に無理強いさせまいとしながら、結局うまく無理強いさせてしまう。このやんわりしたムードはさすが。

菊五郎演じるは肴売りの新吉。三枚卸になる小道具の魚をおろしながらで意気のいい粋な肴売りを楽しそうに演じています。菊五郎はこんなキャラクターがぴったり。

新三は江戸の粋なちょい悪男ですが、松緑が演じると生真面目で面白みがないような。先日の矢の根は面白かったのに・・・?祖父と父の豪胆さがすーっと身につくとといいのだけれど。



 今日のお弁当は神田明神下のみやびでした。

素敵なハーモニー


今日はシンギングボールのこずえさんがレッスンに参加してくれました。こずえさんと同じ学校に通っているIHさん。来年の3年生進級のお祝いに二人でコラボレーションを行う予定なので、今日はその打ち合わせ。こずえさん、新しいガンクというボウルを持参。不思議な形とキュートな音色。

進級と国家試験合格の祈願を込めてガネーシャ神を讃える振り付けを考えています。今日は大まかなイメージがつかめたのでいい手応えです。

次回の打ち合わせまでに、お互いにもっとイメージを膨らませて練習できるように頑張ってください!

夜の庭園ライトアップのお知らせ

11月20日から29日まで目白庭園で開催されるイベントのお知らせです。「夜の庭園ライトアップ」 普段入れない夜の園内を散策することができ、数寄屋造りの赤鳥庵で行われるコンサートも楽しめるという素敵な企画。私も11月23日18時30分から19時30分までインド舞踊で参加させていただきます。

 今日は打ち合わせを兼ねて庭園を楽しみにきました。ここはいい気が流れているのか、いつ訪れても気持ちがよくなります。

 閉園した後の静かな庭。池の傍にある六角堂。

 赤鳥庵の入り口。

 美しい門構えです。

http://www.seibu-la.co.jp/mejiro-garden/ 詳細は目白庭園のホームページをご覧ください!

女神は二度微笑む…

去年のエアインディアの機内で見た映画。面白くて引き込まれていたのに途中でデリーに到着。タイトルを見なかったのでなんという映画か判明しなかったのがなんと、年明けになって渋谷のユーロスペースで上映されたのでした。情報を知った時には終映されていて臍を噛みました。この映画を見た人に聞くと、皆衝撃のラストだと口を揃えていいます。頭の中は妄想で一杯。見たいよー。
先日、友人から柏のキネマ旬報シアターで上映されるという情報を得ました。

柏ってどうやていくのだろう? インドよりも遠い感じがする。でもこの機会を逃したらしばらく見ることができないかも~。という訳でやってきました。蕨からだと武蔵野線で新松戸へでて常磐線に乗り換えるといいらしい。  武蔵野線の中でしっかり爆睡。新松戸へ行く途中はのどかな景色が展開されていました。常磐線の乗り換えも簡単。  ここで初めてこの線が千代田線に乗り入れている線だと気がつきました。視点を変えると新鮮。柏の駅は大きかった。西口の駅を出るとローカルな雰囲気でなかなかいい感じ。キネ旬シアターは駅のすぐそば。


チケットを購入。奥にカフェが併設されているのでコーヒーを飲みながら久しぶりにワクワクしながら上映待ち。
映画は冒頭からグイグイ引き込まれていきます。1980年に私が最初に降り立ったインドはカルカッタ。今のコルカタです。この映画はコルカタが舞台。  懐かしい風景や、すっかり近代的になった街並、変わらない人々の暮らしぶりが出てきて思わず顔がほころびそう。ロンドンからコルカタに仕事できて行方不明になった夫。身重の妻が行方不明の夫を探して歩くが、勤務先にも宿泊先にも夫の痕跡が一切なく夫の存在すら証明できない。ヒチコックの「見知らぬ乗客」のような不気味な雰囲気。

そんな窮地に立たされた美しい人妻。そして彼女を助ける若い警察官。ドゥルガー女神の祝祭を控えた活気ある街。怖〜い殺し屋。可愛いボーイ君。思いがけないどんでん返し。語りたいけれど語るわけにいかない・・・。初めて見たインドのサスペンスはとっても上質。タイトルのKAHAANI は物語という意味。なるほどねと最後にわかります。インド人のおじさん達のジョークで笑っていたのは私だけでした。このユーモアのセンスの主はと思ったら、やはり字幕は松岡さんでした。

イベントは楽しい・・・。

某企業の会合に招かれてインド舞踊を披露して来ました。前半の会議が押しているので時間に余裕が…。皆さんホールにいらっしゃるので広いロビーを独り占め。

大きな円柱が並んでいる様子が素敵なので思わずポーズを取って遊びまくりました。

 こんな広い空間を独り占めにして気持いい。

あんまり遊んでいると本当の舞台に出るのを忘れそう。

 お手伝いに来てくれたMさんと。この後ちゃんと舞台を務めましたのでご安心ください。

十月大歌舞伎


昨夜からの大雨の影響か、今朝はいろいろな線が遅れている様子。京浜東北線ものんびり徐行運転していました。途中から山手線に乗り換えたので開演前に無事到着。でも友人は散々な目にあったようで汗だくになって到着。お疲れ様。昨日初日を迎えた十月大歌舞伎。お楽しみはこれから!


第一幕は[音羽嶽だんまり・おとわがだけだんまり] 山中の神社に奉納された名刀と白旗。奉納の舞が始まる中で、踊り手に混じった盗賊の音羽夜叉五郎がその名刀と白旗を奪います。取り返そうとする将軍太郎良門達との戦い。暗闇の中で行われているという暗黙の了解がこのだんまり。まさに歌舞伎の見せ場になるはずが・・・。6人の役者と立ち回りの役者が繰り広げるだんまり。まだ二日目でこなれていないせいか、暗闇の緊張感が感じられず間延びした印象。先月の競伊勢物語の玉水淵で菊之助と又五郎が演じた二人の暗闇のスリリングな雰囲気を思い出してしまう。

 二幕目の「矢の根」は歌舞伎十八番の一つで荒事による祝祭劇だそうです。物語よりも様式が重要。荒事役者の真骨頂が試される作品。そういう意味では今回の松緑はいい味出しています。前回見た矢の根よりも一回りスケールが大きい曽我五郎を舞台に見ました。(前回がひ弱過ぎた?)

正月の相模国、曽我の家は五郎が矢の根(矢じり)を研いでいます。そこへ大薩摩の大夫が年始の挨拶に来て宝船を書いた縁起物の絵を置いていきます。五郎はそれを枕にしいて初夢を見ることに。ところが夢に現れたのは工藤の館に捕らわれている兄の十郎(坂田藤十郎) 目を覚ました五郎は身支度(二人の後見が矢の根の特徴ある化粧襷をかけるシーンもどんな姿になるか知っていてもワクワクします)を整え、ちょうどやってきた馬子を襲って馬を盗み、大根を振りかざしながらいざ出立。松緑に貫録が出てきたのでとても見ごたえある一幕になっています。

 今日楽しみにしていたのがこの演目。「一條大蔵譚・いちじょうおおくらものがたり」 仁左衛門が阿保のお公家さん一條大蔵長成を演じます。平家全盛の頃、一條大蔵長成は常盤御前を妻に迎えます。常盤といえば源義朝の妻で頼朝、義経の母。平清盛の寵愛を受けた後に大蔵に下げ渡された悲劇の女性。源氏の忠臣、吉岡鬼次郎(菊之助)は妻お京(孝太郎)と御前の本心を探ろうと大蔵の屋敷に潜り込みます。そこで見たのは揚弓に興じている御前の姿。鬼次郎は激しく叱咤します。ところが弓の的の下に隠されていたのは平清盛の肖像。常に弓で遊んでいるふりをしながら平家調伏の願いが込められていたのでした。

この様子を見た大蔵の家臣八剣勘解由は早速清盛に注進しようとしますがこれを制し、打ったのは阿保で知られる普段の姿とは打って変わって威厳にあふれた大蔵卿でした。平家一辺倒のこの時代に嫌気がさしていた大蔵卿は、狂言に熱中している、緩いキャラクターで世間をごまかし、時の政治などから一歩引いた世界に住んでいたのでした。

吉岡とお京に常盤御膳の身は命を懸けて守るから心配するなと言って二人を見送るのでした。仁左衛門のお公家様のなんと品のあること。阿保のふりをして戯れている様子の一つ一つが計算され、身についた育ちの良さが染み出て、大げさでなく、この人が演じると阿保までがこうも可愛い。冒頭屋敷の前で吉岡に対面した時に阿保のふりをしながら吉岡と目を合わせすべてを感知して、何もなかったかのように顔をそらす・・・。このシーンを見ただけで深い洞察力がうかがえます。天に顔を向けながらニコニコしている、天真爛漫な姿のチャーミングなこと。この演目を見ることができてラッキーでした。

 最後の演目は「文七元結・ぶんしちもっとい」人情劇の代表です。子供の頃に見た記憶があります。左官屋の長兵衛(菊五郎)は腕は立つのに大のばくち好き。仕事もしないでばくちに明け暮れているので女房のお兼(時蔵)とは喧嘩ばかり。ある日ばくちに負けて着物までなくして帰ると娘のお久がいない。

そこへ吉原の妓楼角海老の女将(玉三郎)が使いをよこして長兵衛を呼び出す。角海老に行くとそこには娘のお久が。なんと家の苦境を見かねたお久が身を売りに来たというでは。娘の心意気に勘当した女将が長兵衛に心根を入れ替えて仕事に精を出すよう諭し、借金を返すための50両を貸してくれ、娘は店に出さず3月まで預かるという。目が覚めた長兵衛は50両を胸に家路に・・・。

途中の大川端で店の売上金50両をなくしたために身を投げようとしている文七(梅枝)に会います。この窮状を見かねた長兵衛は大事な50両を文七にあげてしまいます。

長屋の戻った長兵衛はもちろん女房と大喧嘩。翌日もふて寝をしていると客人が・・・。なんと昨日の若者がお店のご主人と一緒にお酒を持って現れました。なくしたと思っていた50両は取り立てに行った店に置き忘れたことが判明。子供のころから文七の面倒を見てゆくゆくはのれん分けを考えていた主人は命の恩人と長兵衛を探し出し、おまけにのれん分けした文七とお久を結婚させたいと、角海老に借金を払ってお久を連れ帰ってきたではないか。昨日はいかにも山育ちの娘といったお久が一夜明けたらすっかりきれいな町娘になっていてビックリ。梅枝の文七は大金をなくして死ぬしかないと肩が落ちた風情がぴったり。いつも女形のきれいなお姫様を見ているのでこういう役も新鮮。いなせな町人の心意気が幸せをつかむという楽しいお話。菊五郎にぴったりの話です。

 今日は三越でお買い物ができなかったので歌舞伎座内のお弁当。色々入っていて美味しいです。

シャーリー&ヒンダ

先日見た映画を紹介。シアトルに住む二人のおばあちゃまが主人公のドキュメントフィルム。行動力抜群のシャーリーとちょっとシニカルなヒンダ。電動車椅子に乗ってあちこち出かけます。二人が経済について疑問を持ったのがことの始まり。なぜ経済は毎年成長しなくてはいけないの。ある程度成長して豊かになったらゆっくり平行線でもいいんじゃないの。消費しろ消費しろと言われてゴミだらけの町になっている。経済じゃなくて他の文化や自然、芸術の成長が望ましいのに?

 
そんな素朴な疑問を持った二人は、ではいろいろな識者に聞きましょうと大学の授業を受けますが、質問攻めになった先生からはクラスをでていけといわれ・・・。ある日は数学の先生を訪ねて成長指数についての講義を受けます。先生があるアメーバーを大きな器に入れて繁殖させます。1分で倍になるアメーバーはいつ自分がこの器いっぱいになるのに気が付くかと二人に質問。賢いシャーリーは1分前だと即答。これを地球の現状に当てはめて考えたらなんて怖い・・・。人間が気が付いた時にはもう遅いんです。

銀行のトップにインタヴューを申し込んでもなしのつぶて。二人の疑問に答えてくれる人はいない。遂に二人はニューヨークへ出かけウォール街のセレブのディナーチケットを購入。直接経済界のトップに質問するという直訴を行います。もちろん屈強なガードマンに外に連れ出されてしまいます。追い出されはしたけれどディナーパーティージャックで一石を投じてさざ波を立てたことは凄い。



二人は現在、他の仲間といっしょに、若者たちにもこの問題を考えてもらうための運動をしています。後世の人たちが平和で豊かに暮らせますようにと皆願いますが、この二人は実際に行動に移せるところが素晴らしい。しかも二人の会話がユーモアがあって面白い。膝が痛くなったり風邪をひいたり、足元がおぼつかないこともあって時々気弱になるけれど、二人でタッグを組んでドンドン進んで行って欲しいですね!

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