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今日も歌舞伎日和

Photo まだ五月だというのに、今日のお天気はもう夏日。團菊祭の昼の部を見に来ました。


Photo_2 昼の部は「摂政合邦辻・せっしゅうがっぽうがつじ」 複雑な御家騒動が絡んだ話を一幕で見せるので観客は予習か想像力が必要。

継子の俊徳丸に恋慕した継母の玉手御膳(菊之助)は恋が叶わぬために義理の息子に毒酒を飲ませ醜い顔にさせる。玉手の執拗な執着に許嫁の浅香姫と玉手の父である合邦のもとに逃げてきた俊徳丸。そこへ追ってきた玉手。父母は玉手の義理の息子への執着を畜生になったと嘆きます。俊徳丸に直も迫る玉手を見て父の合邦がついに娘を手に掛けます。

虫の息の玉手の口から意外な事実が・・・。俊徳丸には腹違いの兄がいます。しかし父亡き後、御家を相続するのは正室の息子俊徳丸。それを面白くないと思っている兄次郎丸を炊きつけた黒幕がいて俊徳丸の命を狙っていました。それを知った玉手が兄弟の間でいさかいをさせてはいけないと俊徳丸に毒を盛り、相続できないようにさせたと言うのです。

しかも寅年寅の日生まれの女の肝臓の血を鮑の杯で飲めば毒が消えると言うのです。まさに玉手が寅年の女。父に鳩尾を刺して血を出すように頼みますが、真実を知った父は玉手を刺せない。そこで自ら刃を胸に刺し俊徳丸に飲ませると彼の顔は元の美しい顔に。皆で鉦を鳴らし玉手のために供養をするのでした。ちなみに黒幕は処刑され兄は許されます。つまりどちらの息子も後妻の玉手にとっては継子だけれど息子と言うわけです。

玉手は義太夫の原作では20歳くらい。当主の奥方の侍女から後妻になり、俊徳丸とは1~2歳の年の差と言う設定だったそうです。歌舞伎にするときは30歳くらいで想定したほうが女の情念が演じやすいので置き換えているとのこと。なるほどね。厳しい批評家からは最近立役が多いので色気が出にくいと評された菊之助ですが、十分色っぽかった。能の弱法師や身毒丸の原案です。


Photo_3 昼の部のもう一つの出し物は通し狂言「天一坊大岡政談・てんいちぼうおおおかせいだん」 八大将軍吉宗が紀州にいた時にお手がついた女中の生んだ男の子をめぐっての御落胤騒動。天一坊と言う名前は聞いたことがあったけれど今日の通しを見てよくわかりました。

紀州平野村に住むお三婆さんを坊主の法澤(菊之助)が酒とご馳走を持って尋ねます。法澤は17年前のこの日に寺の前に捨てられていたのを住職に助けらて育ちました。いつも世話になっている婆さんに自分の誕生日を祝うご馳走を持ってきたのです。囲炉裏の傍で酒を飲んでご機嫌になった婆さんがつい気を許して秘密を打ち明けます。

天袋から取り出した葵の御紋の短刀と吉宗自筆の子供を認知するという証書。婆さんの娘は奉公に言った先でお手がついて実家に戻り男の子を生みますが死産で自分も亡くなります。法澤と自分の死んだ孫が同じ年の同じ日に生まれたと言う偶然にまるで孫のようだと言う婆さん。それを見ている法澤の眼が代わるのが本当に怖い。この話を誰にもしていないのかと念を押した後で、天井を支えるための丸太を酔っぱらって寝ている婆さんの喉に充てて絞め殺し、しかも顔を囲炉裏の中に入れて焼いてしまうと言う残酷さ。

ご馳走を持って尋ねてきた時は優しそうな顔をしていた菊之助がどんどん大きく恐ろしく変貌する様子がとても恐ろしく美しい。この後法澤は証文と担当を奪い、恩人の住職を殺し金を奪い、しかもその罪をたまたまその日駆け落ちせざるを得なくなった男にかぶせて村を出ていきます。この第一幕は美しく優しい男が、運命のカギを拾ったっために瞬く間に悪人に豹変していく様を堪能させられます。今思い出しても怖い!


Photo_4 次の幕は法澤を偽物と知りながら御落胤として世間を欺こうと言う悪の集会。美濃の国の常楽院の住職の紹介で浪人、山内伊賀亮(海老蔵)と出会う場面です。住職が寺の小坊主天一を部屋に呼びその場で殺します。そして法澤にこれからは貴方はこの天一ですと命名。海老蔵と菊之助が手をつなぐことになり「さあさあさあさあ」と合いの手を入れる大事なシーンがありますが、なんだか二人の息が合わないので迫力なし。

Photo_5 先ごろ天下を騒がせている天一坊の真偽を確かめる役を負ったのが天下の大岡越前守(菊五郎)。家臣の池田大助(松緑)が御落胤生誕の地紀州に飛んで調べてくることに。しかしなかなか探索がはかどらず、大岡はついに妻子とともに切腹を覚悟。あわやと言う所に満身創痍の池田が戻り証人を見つけてきましたと大岡に。一転してお白州の場。天一坊達の前に現れたのは、法澤が自分の罪をなすりつけようとした駆け落ちの男。すべてが露見してもはや言い逃れはできず潔くお縄を受ける天一部。一件落着の大岡越前守。めでたしめでたし。


Photo_6 去年今年と團菊祭を見たけれど、團十郎がいないのでどうしても成田屋の存在が小さいのが残念。海老蔵頑張って!

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