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スクリプターはストリッパーではありません

Img2 映画の好きな友人Kさんが貸してくれた本。 このタイトルを見て、スクリプターと言う聞きなれない言葉を聞いた人がストリッパーと間違えたんだなと思いました。とんでもない。そんなやわな事ではありませんでした。この本は戦後すぐ映画会社に就職してスクリプター(記録係)として働いてきた女性の豪快なお話です。多くの監督、スタッフ、俳優達、女優達と膨大な数の映画制作にかかわり、苦楽を共にした戦後の映画史をインタヴューという形式でまとめています。movie

この本の著者白鳥あかね女史は昭和30年に新藤兼人監督のスクリプター助手になり、その後日活に入社。渡り鳥シリーズの斎藤武市監督、神代辰巳、藤田敏ハ、根岸吉太郎、池田敏春、などなどそうそうたる監督の作品のスクリプターを務めます。フリーランスになってから日本映画・スクリプター協会を設立。現在も映画祭や講演会、後輩の育成と大活躍している戦後映画の生き字引のような方。happy01

日活から始まった映画人生。青春映画全盛期、裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、吉永小百合等々のきらめくスター達の活躍。映画が斜陽になって日活ロマンポルノの時代。製作費も抑えられて短期間で撮らなければならない。撮影間際に泣きだすヒロインをなだめすかして撮影したり、抽象的な表現をする監督の言葉を翻訳して役者に伝えたり。映画にかかわる人達のすさまじい情熱がそこかしこにあふれていてどの映画も見たくなります。fuji

綺麗な女優さんを汚いどぶ川に何度もつけたり、裸の女優さんを砂丘のど真ん中で馬跳びさせたり、自分の納得いくワンシーンを撮るために何度も何度も繰り返したり。ある映画ではスタッフがどんどん逃げ出してカメラと彼女と助手の女の子しかいなかったとか・・・。尋常でない映画監督達の情熱と素顔にも迫ります。アイドルを売るためにプロダクションがお抱え監督を雇って作る映画が多い昨今。当時の個性豊かな(偏執狂的な)監督に無理難題を受けながらも応戦するスタッフ、おびえながらも監督の望む人間像を演じようと苦戦する俳優達。なんと濃い時代だったのでしょう!

この本の中で池田敏春監督の(人魚伝説)と言う映画に触れているけれど、これは機会があったらぜひ見てみたい。撮影の現場も相当ハードだったようです。今はもう引退している主演の白都真理はこの映画で本当の女優になれたと池田監督に感謝していると語っていたとか。海を汚染され、夫を殺された海女が銛を手に大暴れし、断崖から身を投げるというストーリーのようです。後年、監督はこの断崖から自死したそうです。白鳥は監督の死の二カ月後におこった東日本大震災の原発事故をまさに予言していた監督だったと書いてあります。

神代監督がある時、上山田のひなびた温泉町のストリップ小屋でストリッパー達の映画を撮ったそうです。踊り子さんたちに親切にされてスタッフもキャストも家族みたいに仲良くなっていい雰囲気のシーンが撮れたそうです。最後の打ち上げの日に今までのお礼に今度はスタッフの私達が踊りましょうということになって、あかねさんも気持ち良くなって上半身脱いで踊ってしまった。翌日撮影所に戻ったら先輩スクリプターに「スクリプターはストリッパーではありません」と大目玉をくらったというのがこの本のタイトルの由来。

映画が好きで明るくて、すごい記憶力の持ち主で、映画とともに歩んだ人生。こんなに豪快に仕事をしながら二人のお子さんを立派に育て上げた肝っ玉母さんでもあります。あっぱれ!

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