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2013年11月

布の魔術師

Img_0001 京橋のアートスペース繭で開催中の渡邊真砂さんの個展。真砂さんは布でなんでも作ってしまう布の魔術師。しかもミシンを使わない。手縫い一本です。アップリケや刺繍を施したバッグや手袋や脚絆。ショールやベスト、ワンピースなんでもインスピレーションがわいたら作ってしまいます。

今回は細密ペン画も展示されています。インドで見た寺院や植物が繊細なタッチで描かれていて一種独特な世界に引き込まれます。1枚の紙を折ったり切ったりして豆本のような装丁になっていて素敵。開くと旗のように立体的になるのも面白い。

Photo ここはギャラリーの入口。

006 細密画で構成された祭壇。

Photo_2 妖精から最近は魔女になった真砂さん。棒を振る代わりに針と糸で魔法を起こします。昔インド祭り in 増上寺のために作ったラクシュミーのアップリケを施した垂れ幕をスタジオに寄贈してくださるそうです。展覧会が終わったらゆっくり梱包して送ってくださるとのこと、楽しみです。happy01

Photo_4 この茶色い肩掛けと似たものを今日は真砂さんが着ていました。黒いチェックのワンピースの上に掛け、両脇はボタン止めで可愛かった。

Photo_3 ポンチョやネックカバーもあります。

Photo_5 実知子さんは私が日本で最初にインド舞踊を教えていただいたO先生に横浜で教えていただいてたそうです。遠い昔、同じように汗を流していたんですね。幼馴染に会ったような気になります。現在は布の絵本作家目指して頑張っています。

021 これなんだと思う。今回私が手に入れた真砂さんお手製のベストです。イタリアのエラスティックという伸縮性のある生地で作った三つ穴ベスト。今度着たところをご披露しますね。

撮影風景

11月23日、ヨガのテキストのための撮影をしました。ちょうど1年前は今オーストラリアにいるMちゃんのアランゲトラムでした。去年はその翌日Mちゃんと去年からモデルをお願いしているKさんの2人でめでたいミナクシカリヤニの撮影をしました。懐かしいな~。今年はハンサムウーマンKさんにぴったりのシヴァ神です。

ヨガとの関連で瞑想がキーワード。ガンガーダラというシュローカをモチーフに4話のエピソードを取り上げます。

Photo 第1話、ガンガーダラ。シヴァ神の頭上からほとばしるガンガの水。

Photo_2 第2話、ガウリニーラッタラ。女神はシヴァ神へのプージャを行い苦行の末に結ばれます。シヴァ神と女神の一体化されたアルダナーリシュワラの姿。

Photo_3 第3話。ナラヤナプリヤ。マンマタに瞑想の邪魔をされたシヴァ神。第3の目から炎を生じて燃やしてしまいます。

Photo_4 第4話。バラナシプラパティ。聖地カーシ(バラナシ)の守り手シヴァ神。

Photo_5 瞑想するシヴァ神。

Photo_6 撮影風景。左手にレフ板を持ったSさんの手が・・・。

Photo_7 撮影風景その2。足の位置指定。今年も無事終了。来年の刊行が楽しみ。おっとその前にレイアウトがありました。

中島みゆきの夜会

Img この20年、見たいなと思いながら見ることができなかったコンサートの一つが中島みゆきの夜会シリーズ。毎年12月に開催されているようです。しかもチケットもプレミアものでなかなか取れないとか。そんなにまめにコンサートに行かない友人がこのコンサートだけは毎年見ていると鼻をふくらませて自慢していたのが何やら口惜しい。(`ε´)

先日ふと新聞にイオン系の映画館で2週間限定上映という記事を発見。2011年に上演された「夜会VOL.17 2/2」の映像化だそうです。これは行くっきゃない。で行って来ました。

幸せをつかみそうになるたびに、何か得体の知れない自分の中の自分がその幸せを壊してしまう莉花。愛する男性を傷つけるのが怖くて彼の前から姿を消してベトナムに旅立つ。旅先でも、もう一人の自分におびえているうちに貴重品を奪われ、怪我をしてベトナム人の母娘に助けられる。姉と妹になりましょうとと誘われ生活を共に・・・。

疑似姉妹となり穏やかに生活するヒロイン。日本に残された恋人は彼女の出生の秘密を探り当てることができ、彼女の心の闇を解き放つためにベトナムに。茉莉と莉花。二人の双子の少女の名前。二人合わされて一つの花の名前。茉莉花。出産時に亡くなった姉の茉莉。自分のせいだと思い込み自分の幸福はもちろん生をも否定して生きてきた莉花。

幼い日に聞いてしまった心ない親戚の叔母の言葉で、自分の幸せを封じ込めてしまった莉花。舞台の中央に置かれた鏡は幼い日の自分や死んでしまった姉茉莉の姿も映し出します。お芝居でもなく、歌のコンサートでもなく、ミュージカルでもない。誰もやっていない舞台。その制作すべて中島みゆき本人がやっているというとんでもないプロジェクトです。きっと素晴らしいスタッフにも恵まれているのでしょうね。note

デヴューしてから40年以上。ずーっと自分のスタンスを守りながらも常に進化し続けていくすごい人ですね。表情が幼女のようにも悪女のようにも聖女のようにも変化して魅力的。歌はもちろん素敵。今年は11月末から夜会が開かれるようです。どんな世界を見せてくれるのか気になります。友人は又行くんだろうな~。

おめでとう!

小田原のSさんから都美術館で開催中の書道展のお知らせが・・・。会津のHさんの月1回のクラスの日と開催期間があったので皆で待ち合わせることに。都美館はリニューアル工事が終わって久しぶりのお披露目。壁が綺麗になっていました。shine私はもっと昔の威風堂々としたクラシックな建物が好きでしたが・・・。石の階段を上って入場する時の高揚感が子ども心に別の世界へ行く感じがしたものです。現在は公共の建物はバリアフリーはもちろん、広く皆に使いやすいようにが前提ですからね。

遅れて会場の中をうろうろしていたらメールが。SさんとHさんはすでに会場を回覧し終わってSさんの作品の前で合流。今回はじめての出品で入選するか気をもんでいたSさん。入選どころか入賞です。おめでとう!!!

002_2 今回の作品。北原白秋の詩。蜩(ひぐらし)が啼いている、ああ月夜の雪明り、明かりの中 なんとしたことだ。あの時ならぬ・・・・

柔らかないい字です。余白の取り方がとても綺麗。

Photo_2 これはSさんが現在師事しているD先生の作品。勢いがあって温かみがあって、先生のお人柄そのもの。書は体を表す?

Photo_3 こちらは以前師事していた女性の先生。力強いまっすぐな書体ですね。書でも絵でも踊りでも技巧に走らずまっすぐに来る作品が好きですね。

Photo_4 こちらはSさんの落款。なんと先生が篆刻してくださったそうです。やはり余白が綺麗。美知子です。

Photo_5 同じ先生が篆刻してくださった良江さん。なんとも可愛らしいバニーちゃんになっていました。いや待て・・・。コオロギか?

Photo_6 真澄さんの落款です。

Photo_7こちらは直子さん。

Photo_8  こちらが先生ご自身の落款です。大岳先生。落款に注目していろいろな作品を見るのも一興。それぞれの雰囲気に会った落款を彫ってくださるなんて素敵ですね。

この後、会津末廣のお酒が飲める四谷のお寿司屋さんでもう一人と合流。Hさんの幼馴染、このお店のオーナーのお姉さんです。回らないお寿司屋さんで久しぶりに旬の美味しいものをたくさんいただきました。皆でほろ酔い、気分のいい夜。

ムットーニ・ワールド

Photo どことなく浮世離れしたK夫妻のお誘いでやって来ました、八王子。夢美術館というなんだか聞いただけでワクワクする会場です。今回の展覧会はムットーニ・ワールド。皆さんご存知でしたか?初めてだらけで駅をおりた時からウキウキしてます。

Photo_2 ここが展覧会の入口。いざムットーニ・ワールド からくりシアターの開幕。*:;;;;;;:**:;;;;;;:**:;;;;;:**:;;;;;:*

Img2 永遠の少年ムットーニ氏制作のからくり箱の世界。何が飛び出すのか!!!

Img_00012 細かなパーツ、人形のからくり、シチュエーション、選曲、時にはシンセサイザーや動物の鳴き声も、すべてムットーニさん一人で作っています。聖悪あわせもつ感性と、工作少年がそのまま大人になったあくなき好奇心、なんでも作ってしまうその手技。アトリエの中はすごい世界でしょうね。覗いてみたい。パティ・ペイジやダイナ・ショウの歌声に誘われて箱の中から飛び出してくる人形達。きらめく星の下、空を舞う人形の姿には何かしらメランコリーな哀感が漂っています。

Img_00032 サテライト・キャバレーと名付けられたミラーボールの光を浴びたビッグバンドの陽気な華やかさ。

ユーモラスな骸骨おじさんとその足元にいる3匹のバニーガールズ。海の底へ吸い込まれていく美しい歌声の少女。ジャングル・パラダイスはスコールの後、雨にぬれてイキイキした緑の中に突然現れた妖艶な歌姫とバンドのメンバー。演奏が終わって紗の幕の向こうにバンドが消え、緑の葉に歌姫が隠れると跡に残されたのは雨にぬれた緑だけ。夢の跡・・・。

Img_00012_2 天使の聖天を讃えるミサ。天井に写る天使の影も美しい。

Img_00022 扉の影から現れるヴィーナス。

無口な箱がひとたびスイッチが入ると、箱がゆっくり開き始め、音楽が鳴り、ライトがきらめき、想像もつかない世界が出現する面白さを堪能しました。それぞれの人形達にドラマがあって想像力をかきたてられます。そして最後に又折りたたまれて箱に戻る瞬間の残光。人生の最後の輝きを思わせてジーンとします。

ムットーニ氏本人の向上で作品をめぐると、また一味違う雰囲気が味わえます。箱の中に入る度にウサギの耳が折れて、だんだん短くなったとか。大きなクルーズ船をのけぞるように動かすための工夫だとか。細部にまでこだわりが。

友人にこんなの見たよとメールをしたら、彼女は世田谷文学館に行った時に奇妙な箱がおいてあるのに気がついたそうです。なんだろうと思ったら時間になると動くと言うのでその時間まで待って見てきてびっくりしたと言っています。小さいのを一つ家において寂しくなった時にスイッチを入れるのもいいかも・・・。猥雑な日常を一瞬離れて楽しめます。

石巻・女川の海産物

0012 浦和のヨガの先生さんから塩蔵わかめ早煮昆布、とろろ昆布の詰め合わせが贈られてきました。どれもとっても美味しい。Nさんのお知り合いで18の神社を預かっていられる宮司様が「石巻の海産物を購入していただくのが一番嬉しい支援です」とおっしゃっているそうです。Nさんは復興を祈りつつ海藻をたくさんの方に紹介しているそうで、及ばずながら私もお手伝いしたいと思っています。先日、石巻の「足りない活字のためのことば」の展示を見た翌日に届けられたので余計ジーンときています。

●1箱(塩蔵わかめ・早煮昆布・とろろ昆布セット)で1000円です。送料は10箱まで740円。

●お問い合わせ  〒986-1312 宮城県石巻市雄勝町熊沢28-2 藤井正樹様

●℡ 0225-58-2146

漢方の五臓(肝・心・脾・肺・腎)では、腎臓は生命維持、水分は移設の役割を担っています。腎臓のトラブルで冷え、むくみ、白髪、抜け毛、腰痛、骨に関すること、耳鳴り、めまいなどの症状が起こりやすくなるそうです。腎臓の健康維持にお勧めの食材は、昆布、黒ゴマ、黒米、クルミ、牡蠣、ホタテなどだそうです。

サラダや煮物や、うどんやら何にでもちょっと入れて味も食感も楽しめます。noodle

グングル・プージャのお知らせ

Img_4 蕨で練習しているOさんのグングル・プージ、そして先輩達のおさらい会を11月30日に行います。Oさんは学生時代に立川でインド舞踊を始めました。南インド建築ツアーに参加したのをきっかけにインドにふれ、その後インド学生会議にも参加。おまけに最初の就職先はインド。現在もインドに行くことが多い職場に在職中。学園祭、インド学生会議でのセレモニーなどで踊った経験があります。happy01

卒業の年の三月に震災があって卒業式もなく、立川教室での送別会もお流れに。インドへ出発する前にスタジオにあいさつに来てくれた時も大きな余震がありました。不安を抱えて赴任先のプーネへ出かけましが、その年の12月にクリスマス休暇で私とチェンナイで合流。持ち前のバイタリティで異国での仕事もがんばり、楽しい休暇を過ごせました。あの四日間は私のテンションも高かった!up

現在は日本に戻って仕事に、勉強に、踊りにと頑張っています。去年のNさんのグングル・プージャで刺激を受けたような気もします。今年は観音山のイベントにも参加。各教室の皆さんともすっかり顔なじみになりましたね。皆で応援して、そのあとのおさらい会でもジョイントを楽しみましょう。

たくさんの参加、見学をお待ちしています。

えりこさんの会

文化の日。心配したお天気もどうやら持ちそう。今日はくるるに響く 異文化交流 今泉えりこと仲間達・コンサート」の日。くるるに着いた時は祝福するように陽が射してきました。sun幸先いいぞ!up

Photo 朝一番のリハーサルはえりこさん一人。ひっそりした会場に綺麗な高音が響いています。note

Photo_2 第Ⅱ部のリハーサル。えりこさんの歌うオペラでインド舞踊と日舞がコラボレーション。ラクメは風を象徴するブルーのドゥパタから始まります。

Photo_3 蝶々夫人のリハーサル。綺麗な姿に思わずパチリ。表情も素敵。

Photo_5 今日の楽屋弁当。riceball 美味しかった。まずは腹ごしらえ。

Photo_6 受付嬢達もスタンバイ。happy01

Photo_7 えりこさんのアンサンブルのお仲間ローザ・フェリーチェの皆さん(左から小鼓さん、荻原さん、えりこさん、丸若さん、山中さん)と伴奏のさやかさん。美しい日本の歌曲を聴かせてくれました。和気あいあいと活動しながら、切磋琢磨している素敵なお仲間達です。

Photo_8 ラクメより。賎民の娘が唯一自由になれる夜の森の中。

Photo_9 ミモザの花、月の光、柔らかい苔・・・

Photo_10 えりこさんも風の色に合わせてブルーのドゥパタ。

Photo_11 蝶々夫人に合わせてピンクのショール

Photo_12 全員そろってご挨拶。アンコール2曲に会場の皆様との合唱もあって大いに盛り上がりました。絶妙な司会で進行してくれた北川さんと、歌声を支えてくれたさやかさん。えりこの仲間はみんなタフ!

Photo_13 山田君と綾子ちゃん。遠くから来てくださってありがとう。

Photo_14 姐さんと取り巻き連。

Photo_15 満面の笑顔のえりこファミリー。コンサート成功おめでとう。お疲れ様。11月末には又おたのしみが・・・。もうすぐ初孫誕生。こんな素敵なお婆ちゃまなら自慢できますね。chick 

平家物語より

Photo_2  先日能楽堂のHPで見つけたプログラムです。平家物語を聴く会が後援している女優若村麻由美さんの劇世界と題した公演。大好きな能楽堂でやはりお気に入りの野村萬斎さんとの共演。これは是非見てみたいとさっそく申込。もうチケットはないかもと思っていたらまだ大丈夫ですよとご親切なメールが。

おまかせチケットなので中正面かもしれないと思っていたら脇正面。ラッキーです。私は脇正面が結構好きです。橋掛りに近いので役者さんの出入りがよく見えます。

平家物語と言えば琵琶の上原まりさんと公演でご一緒したことがありました。一人語りの平家物語を若村麻由美さんと萬斎さんがどう料理するのでしょうか。楽しみです。いろいろな会があって、いろいろな人がいろいろな勉強をしているのですね。勉強は尽きない。さて、今日の演目は「巴」「小宰相」「千手」。

 ご存知木曽義仲の愛人巴が義仲と別れて東国に逃れていくまでを描いています。女性ながら勇ましい女武者巴は愛する義仲と最後までともに戦いたかったのに女ということで追い返されます。愛する女を死なせたくない、残って自分の供養をしてほしいと思う義仲。ともに戦いながらも、ともに死ぬことを許されなかった巴が最後の奮戦をして東国に去っていく姿を描いています。

若村さんは女武者の装束になぎなたを振いながら、一人で義仲、兼平、巴と何役ものせりふ回し。前から芸達者な女優さんだと思っていたけれどお見事。立ち姿、声がとても綺麗。勇ましい戦いの様子、特に敵の大将の首を自分の馬の鞍に押しつけねじまげて捨てるシーンは鳥肌です。まさにカーリー。荒々しいだけでなく凛とした美しさがあって私達のカーリー、ドゥルガーもこうありたいと思いましたね。

小宰相 宮中一の美女の誉れ高い小宰相を見染めた平通盛。たくさんの恋文を送られて結ばれた仲のよい夫婦。夫の戦死を知り後を追いたいと乳母に言うと、お腹にいる忘れ形見を育て夫の供養をすることが妻の役目と諭され、どうしても入水するなら私も御供すると言われる。いったんはあきらめたふりをして乳母がうたた寝をしている間に西方浄土での再会を念じて海に身を投げます。これも若村さんが一人でしっとり演じます。

千手 最後の千手でいよいよ萬斎さんの登場。清盛の五男平重衡役。重衡は父の命で奈良を攻めるが戦火が東大寺に移り多くの寺が焼けおちてしまう。その後重衡は一の谷の合戦で捕えられ源頼朝に対面を臨まれ鎌倉まで赴く。武士たるものが捕えられて命を失うこと恥ではない。急ぎ首をはねよと言い放ち、頼朝はじめなみいる武士達に感嘆されます。

頼朝は重衡を伊豆の狩野介宗茂に預ける。旅の疲れをいやすために湯浴みの用意をし、長者の娘千手を遣わします。湯浴みの介錯をした千手は頼朝から「なんなりとお望みを聞いてくるように仰せつかった」と問うと重衡は「出家だけが望み」と答える。千手は帰って頼朝にその旨を伝えると「重衡は仏敵、私の一存で許せることではない」と断られる。

その夜、琵琶と琴を携えて盛装した千手が重衡を訪れる。出家も許されないと聞いた重衡は千手の酒を受けても飲もうとしない。千手は重衡を慰めようと「羅奇の重衣たる、情けない事を機婦に妬む」という菅原道真の漢詩を読みます。この朗詠をすると北野天神(道真)が三度空を回って助けてくれると言い伝えられているので重衡は、こんな田舎に教養のある女性がいることに驚きます。

朗詠のやり取りをしているうちにようやく心を開き、千手の杯を受けます。その時千手が琴を弾きます。重衡は興に乗って「この曲は五常落(ごじょうらく)という曲だが、私には後生落(ごしょうらく)と聞こえる。さあ私の往生の急を弾こう」と戯言を行って皇麞急(おうじょうのきゅう)を琵琶でつま弾くと千手も琴を会わせ2人の心が通いあっていく。萬歳さんが琵琶をつま弾く振りをすると控えていた演者が美しい音色を奏で、若村さんが琴の弦を弾く振りをするとやはり控えていた奏者の音が響き本当に美しいシーンでした。それにしても古の恋人達は教養がないと恋も語れないから大変。

Img_00012 夜更け「燈暗うしては数行虞氏が涙」という朗詠をします。これは項羽が愛妾虞美人との別れを惜しんだ詩で、それをわが身になぞらえたのでした。能舞台の上で2人の舞い姿の何と美しかったこと。能舞台が宇宙の中にぽっかり浮かんでいて、その中で2人が浮遊しているように見えました。2人とも仕草がとびきり綺麗なのでどこをとっても美しい。普通は能では男女が目を見合わせることはないので、生身の男女が能舞台の上にいて目を見合わせるだけで何やらなまめかしい。

重衡はこの後、再び勅命により都に護送され木津川で処刑されます。橋掛りを退場していく萬斎さんに目が離せません。気がつくと暗転になって最後の語りを終え灯りが着いた時に盛装だった若村さんの衣裳が出家を象徴する墨色の内掛けになっていました。いつ衣抜きをやったのか全然気がつきませんでした。

この三人の女性は男性の無念に寄り添う女性達だと思う、と言う萬斎さんの言葉。なるほどと説得力あります。

生きたかった木曽義仲の無念。巴が生きることの代弁者になる。

道盛は無念でありながらも、落ちていく運命に沿っていく。そして小宰相も彼に沿って身を投げる。

重衡は奈良の寺を炎上させ仏敵になってしまった無念。仏にすがりたいのに出家も許されない無念。だからこそ重衡の死後千手は出家する。

一つの物語もいろいろな視点から探ると思いもかけない見方ができますね。

そういえば先日フィギャスケートを見ていたらロシアの選手が「シンドラーのリスト」を踊っていました。赤いコスチュームの選手から映画の中のシンボリックな赤いコートの少女を連想しました。最後に解説の人がやはり同じことを言っていたのできっと選手の意図もそこに託されているのだなと改めて表現の素晴らしさに感嘆。

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