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熱波

Img2 Img2_2 渋谷の小さな映画館イメージフォーラムで最近見た映画。ポルトガルのミゲル・ゴメス監督の作品。50年前のポルトガルの植民地アフリカのタブウ山麓で出あった男女の高熱に駆られたような出会いと別れ。そして50年後の出会いと別れ。heart02

第Ⅰ部ではリスボンに住んでいる老嬢アウロラがお手伝いのサンタ、親切な隣人ビラールに世話を焼かれているシーンから始まる。娘がいるが外国で仕事をしていて帰ってこない様子。病に倒れたアウロラが薄れる意識の中ジャン・ルカ・ベントゥーラという男に会いたいと言う。最後の願いを託されたビラールが男を探し出すがその前にアウロラは死んでしまう。

第Ⅱ部はその男ジャン・ルカの語る50年前の熱い思い出。この映画は全編モノクロ。これだけで老嬢の現代の虚無感過去の植民地の雰囲気を漂わせている。第Ⅱ部ではジャン・ルカのナレーションと音楽,擬音だけで俳優達の台詞は一切ない。風の音や水のせせらぎ、動物の声はするが人の声はジャン・ルカ以外聞こえないことで、より想像力をかきたてられる気がします。

ジャン・ルカの隣の屋敷に住んでいる人妻アウロラ。狩猟の名人で激しい気性のアウロラが妊娠する。夫の子どもを宿してからこの二人は道ならぬ関係に落ちる。まるで熱に侵されたかのようにお互いを求める姿はまるで終末を迎えたがっているよう。ジャン・ルカのバンド仲間が2人の中を心配して外国へのコンサート・ツアーを行い冷却期間を設ける。しかしツアーが終わって臨月のアウロラと再会したジャン・ルカ。気持を抑えきれない2人はバイクで駆け落ち。

そのあとショッキングな事件が起こり陣痛が始まって小さな村で娘を出産。迎えに来た夫の車に母子は乗って、2人は別れる。

そして10年後インドでジャン・ルカはアウロラの夫が死んだことを知る。(きっとゴアあたりでしょうね。)母子はリスボンに戻りそれを追うようにジャン・ルカも帰国。一通の手紙のやり取りの後再び連絡を取ることなく50年の歳月がたったわけです。

どんな人にでもある種、熱に浮かされたようなひとときを持つことはあると思います。自分で思ってもみなかった行為に出たり、大胆な事をやってのけたり・・・。熱を上手くかわして平安な人生を生きるかもしれないし、あの人が!と周りをびっくりさせることをしでかすかもしれない。どちらがいいかなんて誰も解らない。この二人の主人公は50年前で時を止めて生きてきたような気がします。熱に浮かされたあの植民地時代のアフリカの大地での日々。きっとアフリカというシチューションも大きな意味があったのでは。それが残る大半の人生のいきる縁、スパイスだった。人生の最後に人目会いたいと思わせるものだったのですね。

虚無な生活を送っていても燃え尽きない炎の芯を抱えていたほうが幸せなのか、穏やかでそこそこ楽しい日々を送っているほうが幸せなのか・・・。

昔見たダメージという映画の主人公を思い出しました。次期首相候補のエリートが息子の妻に夢中になり、結果すべてを失い一人で地中海沿岸の町で暮らしているラストシーン。息子の妻だったかっての恋人が新しい夫と幼い子供と一緒にいる姿を見て、普通の女だったと一言つぶやくのが印象に残っています。あんなに自分を虜にした熱風のような女が今は普通の女。あの時の熱はなんだったのだろう。熱の魔力はかかった者しかわからない。

古いヨーロッパの映画を見ているような印象だけど、監督の緻密な演出がさえています。

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